技術解説(フィリップス・ジャパン)

2022年8月号

Breast Imaging最新技術

AI時代のMR Breastイメージング ─高画質化と高速化をもたらす“SmartSpeed”─

乳房MRIは,マンモグラフィや超音波に比べ多発乳がんの検出に有用であることが以前より多く報告されている。一方,形態の個体差により,拡散強調画像や造影T1強調画像などの良好なMR画像の取得が困難な領域でもある。フィリップスは高速撮像技術である“Compressed SENSE(C-SENSE)”の撮像フレームワークを発展させ,人工知能(AI)の統合や多様なサンプリング方法への対応を可能とした,次世代高速撮像技術“SmartSpeed”を発表し,乳房MRIの画質改善に向けた新しいソリューションが展開可能となった(図1)。

図1 SmartSpeedの再構成スキーム

図1 SmartSpeedの再構成スキーム

 

●SmartSpeed AIの概要

SmartSpeed AIは,C-SENSEをAIと融合した技術であり,“Deep Learning-based C-SENSE”とも呼ばれる手法である。SmartSpeed AIでは,従来のデノイズ工程をAIに置き換え,繰り返し再構成の過程で,データはAIによる処理を何度も経る。これにより,データ整合性を保ちつつ画像のノイズを段階的に低減可能となる。図2は,造影T1強調画像である。従来法と比較し,撮像時間の短縮を図りながら,画像全体の改善が認められる。

図2 SmartSpeedと従来法の比較(画像ご提供:東京警察病院様)

図2 SmartSpeedと従来法の比較(画像ご提供:東京警察病院様)

 

●C-SENSEの多様なサンプリングへの対応

SmartSpeedは,多様なサンプリングパターンへの対応も実現した。その一つがSmartSpeed Diffusionである。Smart Speed Diffusionは,乳房領域ではインパクトが大きい拡散強調画像にC-SENSEの繰り返しデノイジング工程を組み込み,拡散強調画像の歪み低減,高分解能化,高画質化が可能となった。

●さまざまな撮像シーケンスへの対応

乳房領域で必要とされる画像コントラストは,拡散強調画像や造影T1強調画像だけでなく,脂肪抑制T2強調画像,T1強調画像,また,撮像テクニックも多岐にわたる。SmartSpeedでは,フィリップスの持つ97%の撮像テクニックに使用でき,柔軟な対応が可能である。

 

【問い合わせ先】
お客様窓口
TEL 0120-556-494
URL www.philips.co.jp/healthcare

TOP