技術解説(シーメンスヘルスケア)

2013年8月号

Women's Imaging 2013 最新技術

超音波画像診断装置「ACUSON S3000」が実現した“手で押さない”エラストグラフィ

ACUSON S3000

ACUSON S3000

組織の硬さを画像化するエラストグラフィが,乳房超音波検査に広まってきました。しかし,画像を取得するときに用手的な圧迫と弛緩の反復操作を行うため,「操作者依存性」が課題になっています。
シーメンス社では,従来の用手的圧迫によるエラストグラフィに加えて,乳房への圧迫をまったく必要としない音響放射圧,すなわちAcoustic Radiation Force Impulse (ARFI:アーフィー)を応用したエラストグラフィを開発しました。

●Virtual Touch Imaging(ARFI Imaging)(図1)

プッシュパルスによるARFIの作用で組織にわずかな変位をもたらし,変位量を検出して硬さの違いをイメージングします。言わば,手で押す代わりに音圧で押すエラストグラフィです。適切なスキャン断面さえ決めてしまえば,まったくプローブを動かすことなく,押しボタンひとつで瞬時に撮像できます。

図1 Virtual Touch Imaging(非浸潤性乳管癌)(画像ご提供:りんくう総合医療センター外科・位藤俊一先生)

図1 Virtual Touch Imaging(非浸潤性乳管癌)
(画像ご提供:りんくう総合医療センター外科・
位藤俊一先生)

 

●Virtual Touch IQ(Shear Wave  Elastography)(図2)

ARFIはまた,組織内部で剪断弾性波(shear wave)を発生させることができます。shear waveは,硬い組織中では速く伝搬し,軟らかい組織中では遅いため,shear waveの速度を超音波パルスの送受信で測定し,カラーコード化して画像表示することでエラストグラフィが得られます。操作者依存性が少なく再現性が良いばかりでなく,硬さの絶対値を数値で測ることができるため,最近,特に注目を集めています。

図2 Virtual Touch IQ(硬癌)(画像ご提供:亀田メディカルセンター乳腺科・戸崎光宏先生)

図2 Virtual Touch IQ(硬癌)
(画像ご提供:亀田メディカルセンター乳腺科・
戸崎光宏先生)

 

【問い合わせ先】クリニカルプロダクト事業本部超音波ビジネス本部 TEL 0120-041-387
URL http://www.healthcare.siemens.co.jp/ultrasound

TOP