技術解説(ザイオソフト)

2017年12月号

動画対応DRシステムの最新技術

「Ziostation2」の最新アプリケーション

安達 雅昭(ザイオソフト(株)臨床応用開発グループ)

近年,ワークステーションにおける解析技術は,モダリティの進化とともに大きく変化してきている。血管造影装置に対するニーズも,デバイスの進化などにより,ハイブリッドORがここ数年急激に普及してきたことで変化した。本稿では,主に血管造影装置に関係する最新のプロトコールを紹介する。

■IVRプランニング

IVRにおける市場のニーズは,肝臓がんに対する肝動脈化学塞栓術(以下,TACE)や,全身領域での救急外傷などの出血に対する塞栓術などさまざまである。今回,新たにリリースするIVRプランニングは,それぞれの領域に対してより使いやすいインターフェイスを搭載している。
図1は,TACEに対するシミュレーションであるが,肝臓がんのターゲットを2D画像上で指定することで,複数の栄養血管を自動で検索できるようになっている。さらに,2D画像上に大動脈起始部からターゲットまでのルートが表示され,各血管を色分けすることで,どのように栄養血管がつながっているかを容易に観察することが可能である。

図1 IVRプランニング(TACE)

図1 IVRプランニング(TACE)

 

また,ルート観察ステージに入ると,複数の栄養血管のルートを切り替えて表示できるため,同時に2か所以上の塞栓術を行う際にも,各ルートを切り替えて観察することも可能だ(図2)。表示法は大動脈と主要な分岐のみをサーフェスレンダリング表示し,さらにray sum画像とフュージョンすることで,血管造影画像に酷似した仮想透視画像に仕上げている。
角度表示も右上に大きく出すことで,アングルのシミュレーションもリアルタイムに行うことが可能である。

図2 ルート観察ステージ

図2 ルート観察ステージ

 

■TAVR術前プランニング

2013年より本邦で開始された経カテーテル大動脈弁置換術(以下,TAVR)も,使用デバイスが第二世代となり,新たなデバイスが登場してきた。Ziostation2は,常に新たなデバイスにも対応してきている。従来のデバイスではなかった経鎖骨下アプローチやDirect aortaアプローチ(図3)など,新たなアプローチ法も出てきている。TAVR術前プランニングは,弊社独自機能である“PhyZiodynamics”を使うことで,1フェーズでの計測を行うことにより,1心拍分のデータに対して自動計測することが可能である(図4)。また,PhyZiodynamicsを使用することにより,大幅にアーチファクトやノイズを低減することが可能であり,術前の計測のみならず,術後の診断にも応用することが可能である。近年話題となっているTAVR術後の血栓の評価にも使用することが可能で,血栓弁の動きをCTで評価することができる1)図5)。

図3 Direct aortaアプローチシミュレーション

図3 Direct aortaアプローチシミュレーション

 

図4 TAVR術前プランニング解析

図4 TAVR術前プランニング解析

 

図5 PhyZiodynamicsを使用したTAVR術後の血栓4D画像

図5 PhyZiodynamicsを使用したTAVR術後の
血栓4D画像

 

●参考文献
1)Yanagisawa, R., Hayashida, K., et al. : Incidence, Predictors, and Mid-Term Outcomes of Possible Leaflet Thrombosis After TAVR. JACC Cardiovasc. Imaging, 10・1, 1〜11, 2017.

 

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