Zio Vision 画像の本質を診る(ザイオソフト)
第53回日本放射線技術学会秋季学術大会が,2025年10月17日(金)~19日(日)に札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)で開催された。学会共催のランチョンセミナー17「ワークステーションが支える画像活用の最前線」(ザイオソフト株式会社 / アミン株式会社)では,原田耕平氏(札幌医科大学附属病院)が座長を務め,板谷春佑氏(手稲渓仁会病院)と村山大知氏(東千葉メディカルセンター)が講演した。
2026年1月号
ワークステーションが支える画像活用の最前線
講演1:REVORAS で魅せる! Dual Energy CT
板谷 春佑(手稲渓仁会病院診療技術部)
当院では,「Discovery 750HD(64列)」と「Revolution CT Apex Elite(256列)」(いずれもGE Health Care社製)の2台が導入されており,dual energy CTを10年以上にわたって積極的に撮影してきた。さらに,ザイオソフトの3D医用画像処理ワークステーション「Ziostation REVORAS」(以下,REVORAS)を併用することで,効率良く3D CT angiography画像を提供している。本講演では,CT angiographyでのdual energyとREVORASの有用性について報告する。
Dual energy CTとREVORAS
dual energy CTは,低keVによる造影剤量低減や高keVによる金属アーチファクト低減のほか,ヨード密度画像,virtual non-calcium,Effective-Zなどを再構成することにより,さまざまな疾患への有用性が報告されている1)。一方で,3D画像作成では,低keVによる画像ノイズ上昇や,高keVによる骨のCT 値低下により,3D作成が難しくなる場合があり,臨床活用の妨げになっている可能性がある。
こうした問題を解決したのがテクノロジーの進化であり,1つはCT装置によるdeep learningを用いた画像再構成技術,もう1つが当院でも2024年にZiostation2からアップデートしたREVORASの登場である。REVORASでは,レンブラント処理などで3D画像作成が容易になり,dual energy CTを用いた3D作成の問題点がクリアされて作成環境やスループットが大幅に向上している。
造影剤減量 CT angiography
図1は,胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(TEVAR)術後フォローで,eGFR が17mL/min/1.73m²と低く,造影剤量を低減(200mgI/kg,20s注入)してdual energy撮影した症例である。画像再構成は40keV+TrueFidelity DLを用いた。大動脈のCT値が400HU程度となり,CTAに必要な画質を確保することができた(図1 a,b)。一方で,3D画像はそのままVR画像にしてしまうと軟部組織やノイズが目立ち,3D作成には手間と時間がかかる(図1 c)。これをREVORASのレンブラント処理にすることで,ノイズが軽減され,3D作成の作業時間短縮が期待できる(図1 d)。このことから,当院ではすべての3D画像をレンブラント処理に変更して提出している。
図1 造影剤減量CT angiography
コイル塞栓後(腹部)の血流評価CT angiography
1.TAE後血管評価
肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)後は,金属などの塞栓物質を使用するため,通常CT ではアーチファクトを生じてしまい血管評価は難しい(図2 a)。そこでdual energy CT(70keV)と金属アーチファクト低減処理MAR(metal artifact reduction)を併用することで,コイル周囲のアーチファクトが軽減され,血管視認性が向上する(図2 b)。さらに,物質密度画像(ヨード密度画像)を用いることによって,コイルが消失し周囲の血管評価が可能になる(図2 c)。物質密度画像はCT値ではなく物質密度値になるため,サードパーティ製ワークステーションで処理できないこともあるが,REVORASでは物質密度画像による3D作成が可能である(図3 a)。ただし,物質密度画像は密度値のレンジが狭く3Dが作成しにくい場合がある。そこで,笹森らが頭部領域で考案した手法を応用した,40keVと140keVによるエネルギーサブトラクションを用いて作成したのが図3 bである2)。本手法を用いると,腹部領域でも血管視認性の高い3D画像が作成できている。
図2 TAE後血管評価
図3 物質密度画像の3D
2.門脈ステント術前3D CT angiography
図4は,門脈ステント術前のCTである。この症例は,3年前に十二指腸乳頭部がんに対して,膵頭十二指腸切除(PD)を行った患者で,2年後に貧血にてCT撮影したところ,門脈に静脈瘤(側副血行路)を認めた。術後の炎症などが原因で側副血行路が発達してしまっている状態で,門脈にコイルを用いたtransileocolic portal vein embolization(TIPE)を施行した。その後,他院にてフォローアップされていたが,1年後,他院CTにて食道静脈瘤と門脈本幹狭窄が指摘され,内視鏡的静脈瘤結紮術(endoscopic variceal ligation:EVL)が行われたが完治せず,経皮的門脈ステント留置術施行目的のため当院に紹介となった。他院CTの門脈相では,TIPE時に留置されたコイルの影響で門脈本幹は視認しづらかったが,術前CTをdual energy CTで撮影し,70keV+MARおよびヨード密度画像(図4 a)を再構成したところ,閉塞している門脈本幹を明瞭に描出することができた。門脈ステント術前シミュレーションとして,ヨード密度画像(図4 b),エネルギーサブトラクション(図4 c)による3D画像を作成した。dual energyによってコイルの影響を最小限にした画像からREVORASによる画像解析によって,門脈本幹の狭窄の状態や周囲血管の描出が可能となり,新たな側副血行路の状態,アプローチの方法など治療ストラテジーに貢献するができた。REVORASによって,dual energy CTのアドバンテージを最大限に生かした3D画像の作成が可能であった。
図4 門脈ステント術前3D CT
Adamkiewicz動脈CT angiography
Adamkiewicz動脈(AKA)は,血管径が1mm程度と細く,脊椎と隣接して走行することからCTでは描出が難しい。CTでのAKAの描出は,脊柱管内のCNRが向上すると改善されることや,dual energy CTによるビームハードニングの低減効果などが報告されている3)。そこで当院では,Revolution CT導入に合わせてdual energy CTでAKA撮影を行っている。AKAの同定には,脊髄内のヘアピンカーブの描出や,大動脈から前脊髄動脈までの連続性を把握し大動脈分岐位置を確認することが重要となる。dual energy CTの低keV(50keV)では,ヘアピンカーブを含めて血管の連続性が確認できる(図5 a)。AKAの描出は,single energy CTでは50%程度の描出率だったが,dual energy CTで撮影することにより90%程度で描出可能となっている。さらに当院ではヨード密度画像も提供している(図5 b)。レンブラント処理で3D再構成を行うことで,術前情報として大動脈と脊椎,AKAの位置関係を把握できる(図5 c)。
当院の中島らによりAKAの描出能について,single energy CTとdual energy CTを比較した。定量評価では,dual energy CTで平均CT値(50keV)が3倍,ノイズは1.5倍増え,相対的にCNRが向上していた。また,心臓血管外科の医師による視覚評価ではdual energy CTの評価スコアが高かった4)。
図5 Adamkiewicz動脈CT angiography
まとめ
dual energy CTの臨床応用が進む中,さまざまな領域,疾患において3D 作成の要求は増えてきている。REVORASを活用することで3D作成の効率が上がり,さらに魅せる画像が作成可能になり,dual energy CT撮影のさらなる普及に貢献できると考えている。
●参考文献
1)Parrot, D., et al., Br. J. Radiol., 98(1175):1724-1735, 2025.
2)笹森大輔,他:日本放射線技術学会雑誌, 69(11):1225-1231, 2013.
3)Zhao, X.M., et al., Eur. J. Radiol., 103:131-138, 2018.
4)中島広貴,他:第1回日本放射線医療技術学術大会, 2024.
板谷 春佑(Itaya Shunsuke)
2007年弘前大学医学部保健学科卒業。同年手稲渓仁会病院入職。2018年診療技術部主任。日本放射線技術学会北海道支部CT専門委員長,北海道ヘリカルCT研究会世話人などを務める。
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