Zio Vision 画像の本質を診る(ザイオソフト)

第53回日本放射線技術学会秋季学術大会が,2025年10月17日(金)~19日(日)に札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)で開催された。学会共催のランチョンセミナー17「ワークステーションが支える画像活用の最前線」(ザイオソフト株式会社 / アミン株式会社)では,原田耕平氏(札幌医科大学附属病院)が座長を務め,板谷春佑氏(手稲渓仁会病院)と村山大知氏(東千葉メディカルセンター)が講演した。

2026年1月号

ワークステーションが支える画像活用の最前線

講演2:MRIを用いたCT-like image によるVR画像の活用と今後の展望

村山 大知(東千葉メディカルセンター放射線部)

村山 大知(東千葉メディカルセンター放射線部)

最近注目されているMRIを用いて骨の描出を行うCT-like imageについて,「FRACTURE」と3D医用画像処理ワークステーション「Ziostation REVORAS」(以下,REVORAS)によるVR画像の活用と今後の展望について報告する。

CTによるVR画像の活用

VR画像の作成においてはCTが「主役」であり,CTから作成したVR画像によって心臓や四肢を含めて全身の三次元情報を客観的に把握でき,患者説明や術前シミュレーションに活用されている。特に,整形外科領域では,CTの高分解能を生かして骨や腱,靭帯などの描出が可能で,さらに造影剤を用いて描出した血管や腫瘤と合わせて術前シミュレーションを行うことが一般的となっている。一方,CTは術前計画などで有用な情報が得られる半面,被ばくや造影剤の使用などを伴うため,そういった懸念がある場合にMRIが選択されることになる。

MRIを用いたCT-like imageによるVR画像の活用

その中で,近年,機器の進歩によって超短エコー時間を用いて従来は描出が難しかった骨皮質や靭帯などの組織を描出するultrashort echo time(UTE)-MRIが可能になってきた。しかし,この方法は使用できる装置が限られていること,また,撮像時間が長いことから広く普及するまでには至っていない。その中で,3D fast field echo(3D FFE)法をベースとしたマルチエコー法を使用したFRACTURE(Fast field echo resembling a CT using restricted echo-spacing)と呼ばれる撮像法は,インフェーズの短いTE画像を足し合わせて白黒反転することで骨および腱を描出する。FRACTUREによって装置を限定せず,短い撮像時間で画像が取得できることから,CT-like imageの撮像が広がりつつある。

1.FRACTURE
FRACTUREでは,マルチエコーで短いTEを収集し足し合わせて反転することで,ノイズを低減し海綿骨の信号が向上する。また,TRを長く,FAを低く設定することで,筋肉や脂肪などの背景信号を抑制してVR作成に適した画像の収集を可能にする。FRACTUREの臨床使用は,被ばくを抑えてフォローアップが可能なことから,若年者の罹患が多い腰椎分離症で多く用いられている。さらに他部位への応用として四肢にも適用されている。FRACTUREでは骨だけでなく腱の描出も可能で,手指や足首の腱断裂の診断などにも適用されるようになった。FRACTUREによるCT-like imageからVR画像を作成し,断裂の位置や長さを三次元的に把握して術前シミュレーションに活用されることが増えている。

2.REVORASによる「骨抽出」「分離」機能
当院では,REVORASを導入してCT-like imageのVR画像を作成している。REVORASでは,多彩な機能によって短時間で,かつ臨床的に観察しやすい良好な画質のVR画像の作成が可能になっている。その機能の一つが「骨抽出」である(図1)。骨抽出では,deep learningに基づくアルゴリズムによって,MR画像(CT-like image)から骨構造のみを自動抽出できる。同様にREVORASでは腱の抽出もシンプルな操作で可能で,CT-like imageの元画像から周囲の信号を選択して消去し,骨と腱のみを抽出,そこから自動抽出した骨画像を減算することで腱のみが抽出でき,色分けすることで骨と腱を描出することができる。また,抽出した骨と腱のVR画像から目的部位だけを抽出するには,「分離」機能を使用する。分離では,抽出したい部位と除外したい部位を選択するだけで目的部位が容易に抽出できる(図2)。図2は,環指と小指の伸筋腱が断裂しており,断裂した伸筋腱とその原因となる亜脱臼した尺骨を分離して色分けして提出した画像である。こういった手関節に対するVR画像の作成では,従来は目的部位を抽出した画像の作成までは50分程度かかっていたが,REVORASでは15分以内で作成が可能になった。整形外科外来の診察時間内に画像が提供でき,VR画像を使った患者説明が可能になったことで臨床医からも評価されている。

図1 REVORASの「骨抽出」

図1 REVORASの「骨抽出」

 

図2 REVORASによる「目的部位抽出」 環指・小指の断裂した伸筋腱とその原因である亜脱臼した尺骨の分離

図2 REVORASによる「目的部位抽出」
環指・小指の断裂した伸筋腱とその原因である亜脱臼した尺骨の分離

 

3.MR画像とのフュージョンによる臨床活用
CT-like imageの活用として,MRIが得意とする腫瘤や血管といった軟部組織の情報とフュージョンすることで,MRIの特徴を生かした臨床に有用な画像の提供が可能となる。その一つが,ヨード造影剤アレルギー患者に対する活用である。図3は,外傷性頸椎損傷(C2)で頸椎固定術が検討されたが,重度の腎機能障害のためFRACTUREによる頸椎の描出と非造影MRAによって血管走行の確認を行った。従来,造影剤禁忌の場合にはCTで骨,MRIで非造影で血管を抽出しフュージョンしていた。しかし,頸部は同じ角度を再現することが難しく,ミスレジストレーションが発生しやすかった。これをCT-like imageを活用しMRIのみで,非造影かつミスレジストレーションなしで患者ごとに異なる環軸椎周辺の椎骨動脈の血管走行の把握が可能になる。
そのほか,ヨード造影剤副作用歴があり,手関節に動脈瘤を疑う拍動性腫瘤の精査目的で行った術前検査では,FRACTUREで骨と腱を,脂肪抑制T2強調画像で腫瘤を,非造影のmDIXON-MRAで血管をそれぞれ描出し,フュージョンを行うことで,腫瘤は動脈瘤ではなくガングリオンと診断できた。造影によって血管と腱を傷つけることなく腫瘤摘出前シミュレーションを可能にしている。
また,MRIの専売特許でもある神経と組み合わせた術前のシミュレーション画像の提供も可能となっている。

図3 ヨード造影剤アレルギー患者の術前検査 “非造影”+“ミスレジストレーションなし”で患者それぞれで異なる環軸椎周辺の椎骨動脈の血管走行が把握可能

図3 ヨード造影剤アレルギー患者の術前検査
“非造影”+“ミスレジストレーションなし”で患者それぞれで異なる環軸椎周辺の椎骨動脈の血管走行が把握可能

 

CT-like imageによるVR画像の可能性

当院では,CT-like imageを整形外科領域だけではなく,そのほかの診療科へも波及させるべく,各科へのアピールを行っている。最近では脳神経外科領域での使用も増えており,図4は頸動脈内膜剥離術(CEA)術前の高位病変確認のための画像である。CEAでは,狭窄の位置(高さ)によって手技の難易度が変わることから,術前に石灰化の位置を把握することが重要となる1)。従来は,造影CTの石灰化のデータとフュージョンして術前画像を作成していたが,CT-like imageで石灰化を含めて描出し,MRAとフュージョンすることでMRIのみでの評価が可能になり,オーダが増えている。また,頸動脈ステント留置術(CAS)術後のステント位置の確認についても,血管の末梢までの情報は必要ないことから,CT-like imageとMRAで行われている。頸部領域のCT-like imageからのVR画像の作成では,手作業では時間と手間がかかる。CT-like imageは,空気など本来低信号の情報を高信号として表示するため,気管や肺野内の空気がノイズとして表示されてしまう。手作業でのノイズ除去には20〜30分かかっていたが,REVORASの骨抽出では骨だけが高精度に抽出され,3分程度で終了する。
さらに,脳神経外科領域では,脳動脈瘤クリッピング術前評価にもCT-like imageを使用している。図5は,造影剤アレルギーのためCTでの造影検査が難しく,しかも動脈瘤がある場所に血管奇形が認められた症例で,血管周囲の神経走行も同時に描出してほしいとの依頼があった。そこで,CT-like imageで頭蓋骨(図5 a)を,MRAで血管,3D T2WIで神経を描出し,フュージョンして作成した(b)。術野に合わせて開頭部からの視野を再現したが,実際の術中シェーマ(図5 c)とほぼ一致し,執刀医から評価を受けた。

図4 脳神経外科領域での使用:CEA術前の高位病変の確認

図4 脳神経外科領域での使用:CEA術前の高位病変の確認

 

図5 脳神経外科領域での使用:脳動脈瘤クリッピング術前評価

図5 脳神経外科領域での使用:脳動脈瘤クリッピング術前評価

 

まとめ

MRIにおけるVRを用いた術前画像支援は,CT-like imageの出現によって,新たな時代へ突入した。MRIには,腎機能障害や造影剤アレルギー,被ばくの懸念など患者の状況に応じて,CT検査の一部を代替・補完するポテンシャルがある。REVORASには,CT-like imageからの骨抽出や分離など,そのポテンシャルを最大限に引き出すさまざまな機能があり,CT-like imageとREVORASがMRI-VR画像の新たな標準になると期待している。

●参考文献
1)Kikuchi, J., et al., World Neurosurg., Jul:175:e1075-e1088, 2023.

 

村山 大知(Murayama Daichi)
2014年北里大学卒業,東千葉メディカルセンター入職。磁気共鳴専門技術者(上級)取得。千葉Gyroミーティング世話人。

 

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