Zio Vision 画像の本質を診る(ザイオソフト)

第85回日本医学放射線学会総会が,2026年4月16日(木)〜19日(日)にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された。学会共催ランチョンセミナー30「呼吸動態解析が拓く新たな臨床視点 From Imaging to Clinical Insight : Respiratory Motion Analysis」(ザイオソフト株式会社 / アミン株式会社)では,真鍋徳子氏(自治医科大学附属さいたま医療センター)が座長を務め,方山真朱氏(自治医科大学附属さいたま医療センター)と森谷浩史氏(大原綜合病院)が講演した。

2026年8月号

呼吸動態解析が拓く新たな臨床視点 From Imaging to Clinical Insight : Respiratory Motion Analysis

講演2:疾患横断的にみた呼吸動態CTの診断的価値 ─解剖から機能解析へ─

森谷 浩史(大原綜合病院画像診断センター)

森谷 浩史(大原綜合病院画像診断センター)

演者は,2005年に64列CTで呼吸動態CTに取り組み,その後,320列CT(ADCT)による撮影範囲や呼吸法などの撮影方法の検討や,被ばく線量の低減など最適な検査方法について試行錯誤を重ねてきた。PhyZiodynamicsについても画像補間や肺の局所動態解析に用いてきた。本講演では,呼吸動態CTにおける最新のADCTとPhyZio/dynamics2.0の活用を含めて,これまでの取り組みの経緯と現況を報告する。

ADCTによる呼吸動態CT:試行錯誤と現在の方法

呼吸動態CTに取り組んだのは,肺がん手術の術前に胸膜の癒着の有無を確認したいという呼吸器外科からの要望がきっかけだった。2005年に最初は64列CTで,その後,2009年にADCTで呼吸動態CTを撮影した。ADCTでは,4相から6相の間欠撮影を行い,ザイオソフトのワークステーション(zioTerm)で処理を行い,4D解析によって動態画像として癒着の有無を確認できた。その後,逐次近似応用再構成が登場して線量低減が可能になり,6秒間の連続撮影によって5秒の呼吸サイクルの連続画像データの取得が可能になった。当院では,2018年から呼吸動態CTを含め気管支や肺区域マッピング,3D-CTAなどを肺がん切除前包括的CT検査として提供している。同様の検査を16列CTで行っていた時代に比べて,被ばく線量は1/2程度になっている。そのほか,ブタ摘出肺を用いた呼吸動態ファントムによる気道疾患モデルの作成や,撮影時の呼吸を安定させるための音声指示装置の考案などにも取り組んできた。
その後,これらの成果を基にステップ&シュート(step&shoot)で2あるいは3ボリュームで撮影し,位相および位置合わせを行って,全肺をカバーする方法を考案した。安定した反復呼吸法とstep&shoot撮影で肺全体をカバーすることで,全肺の画像から全位相のさまざまな呼吸機能値の計測が可能になる。機能的残気量(FRC)や従来の呼吸機能検査で求められる最大換気量,1回換気量(tidal volume:TV)などに加え,従来の方法では得られなかった全肺の体積や関心領域の体積変動のtime curveなどを得ることができる。

PhyZiodynamics:機能と臨床実例

PhyZiodynamicsは,複数のフェーズから同一ボクセルを追従するザイオソフト独自のトラッキング技術をベースとして,フェーズ補間,ノイズ低減効果,ファンクショナル画像,ダイナミック計測などを可能にする。フェーズ補間では,フェーズ間のボクセルの動きをとらえて統合・補間することで生体挙動を反映した滑らかな4D動態画像を再構成する。また,同時にノイズ低減も可能であり,CT装置のFBPや逐次近似応用画像再構成などの再構成技術によるノイズリダクションに比べて,細かな構造を保ったままノイズ成分のみを除去することで肺の構造物の観察を容易にする。ファンクショナル画像では,時間ごとのボクセル移動を追跡し,Displacement,Velocity,ストレインなどを定量化して生体組織の機能を可視化する。図1のびまん性汎細気管支炎(DPB)症例では,左右の肺がばらばらに動く様子が描出され,空間的・時間的な不均一性を確認できる。ダイナミック計測は,フェーズ間の動態をトラッキングして,動きに追随したROI(region of interest)やVOI(volume of interest),距離計測などが可能である。図2のように肺を選択してDynamicマスクを設定すると,すべての位相で肺を抽出できる(a)。それを基に肺の容積をグラフ化(d)することで呼吸位相を確認できる。そのほか,任意ボリュームのCT値を計測するDynamic VOI(b),任意面積を計測するDynamic ROI(b),構造の動きに追随する任意面(図2では気管から両主気管支を選択)でのDynamic MPR(c)などを利用できる。

図1 PhyZiodynamicsのファンクショナル画像(ストレインはW.I.P.) DPB症例:空間的・時間的不均一性

図1 PhyZiodynamicsのファンクショナル画像(ストレインはW.I.P.) 
DPB症例:空間的・時間的不均一性

 

図2 PhyZiodynamicsのダイナミック計測

図2 PhyZiodynamicsのダイナミック計測

 

〈症例提示〉
図3は食道裂孔ヘルニアで,食道にDynamic MPRを設定して同じ部位を表示して観察している。胸腔内が陰圧になると胃噴門部が引っ張られて胸腔内に入る動きが認められる。
肺の動きの不均一性は動態を見るだけではわかりにくいが,PhyZiodynamicsのファンクショナル画像によって明らかにできる。図4はDPBの症例で,目視ではわかりにくいが,PhyZiodynamicsで肺の中にROIを設定して解析することで,上葉と下葉で明らかに動きが異なることがわかった。
呼吸器診療で一番多く行われる呼吸機能検査では,肺活量(vital capacity)やフローボリュームカーブ(FVC)を計測するが,呼吸動態CTでは全肺をカバーしているため片肺だけのFVCや関心領域だけのFVCの動的体積測定などが可能である(図5)
呼吸動態CTでは,呼気と吸気で肺結節の大きさや密度など形状が変化する様子がとらえられる。高精細CTで撮影した肺がん症例について,呼気吸気での肺結節のサイズの変化を解析したところ,固形タイプは変化がないが,すりガラス陰影(GGO)では呼気時に収縮していた1)。同様にADCTでも2.5cm未満の肺結節41例の体積の変化についてPhyZiodynamicsを用いて検証したところ,GGOは呼気時に収縮する結果が得られた2)図6は,乳頭型腺癌,浸潤性腺癌,扁平上皮癌で,腫瘍部分に関心面を設定しDynamic MPRを行ったもので,GGOは収縮しCT値が上がることがわかる。これによって腫瘍の体積の変化のほか,濃度や内部の均質性などの評価が期待できる。

図3 食道裂孔ヘルニア

図3 食道裂孔ヘルニア

 

図4 DPB症例のダイナミック計測を用いた解析

図4 DPB症例のダイナミック計測を用いた解析

 

図5 呼吸動態CTによる全肺のダイナミックボリューム計測

図5 呼吸動態CTによる全肺のダイナミックボリューム計測

 

図6 肺結節のDynamic MPR

図6 肺結節のDynamic MPR

 

最新のADCTとPhyZio/dynamics2.0

ADCTも進化を続けており,最新のADCT(キヤノン社のAquilion ONE / INSIGHT Edition)では高精細CTのデータを教師画像として学習させ,1024マトリックスの画像を生成する超解像画像再構成技術のPIQEを利用できる。また,ガントリの回転速度も0.24秒と高速化され,ハーフ再構成では0.12秒となり心臓近傍の腫瘍などもブレが少なく観察することができる。さらにPhyZiodynamicsの処理を加えることで,ノイズが低減され画質が向上して滑らかな動態画像が得られる(図7)。呼吸動態CTではブレのある位相が含まれることが避けられないが,ブレた位相の画像を削除しPhyZiodynamicsによる補間画像に置き換えることで,画質の向上を図ることも可能になっている。
最新のPhyZio/dynamics2.0は,新たなアルゴリズムによって処理の高速化が図られており,スマートトラッキングなどの処理時間も前バージョンに比べて大幅に短縮された。これによって実臨床においても待ち時間なく,解析を行うことができる。また,新たに2Dモーション解析が搭載され,前処理を行うことなく任意の断面でPhyZiodynamicsのモーショントラッキングやDynamic計測などの機能を利用することが可能となった。

図7 ‌最新ADCTとPhyZiodynamicsによる呼吸動態CT

図7 ‌最新ADCTとPhyZiodynamicsによる呼吸動態CT

 

まとめ

ADCTによる呼吸動態CTの試行錯誤の経緯と,最新のADCTとPhyZiodynamicsによる現在の成果を報告した。CTおよびワークステーションの進化で,呼吸下に連続撮影さえできれば呼吸動態画像が得られ,PhyZiodynamicsのトラッキング技術によってさまざまな解析が可能になっている。さらにPhyZio/dynamics2.0では,高速かつ簡便に処理が可能になり,呼吸動態画像の臨床へのさらなる貢献が期待される。

●参考文献
1)Moriya H.:Evaluation of lung tumor softness using ultra-high resolution CT. ECR 2025.
https://dx.doi.org/10.26044/ecr2025/C-17035
2)森谷浩史・他:小型肺癌の計測径の呼吸に伴う変化. 第84回日本医学放射線学会総会, 2025.

 

森谷 浩史(Moriya Hiroshi)
1981年福島県立医科大学卒業。仙台厚生病院などを経て2011年大原綜合病院附属大原医療センター,2013年から大原綜合病院。現在は診療顧問兼画像診断センター長。福島県立医科大学臨床教授。

 

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