RSNA2018 Machine Learning Showcase 
ヒートアップするAIビジネスを象徴し,前回を大きく上回る79社が出展

2018-11-29


活気のあったMachine Learning Showcase

活気のあったMachine Learning Showcase

RSNA2017のTechnical Exhibitsで新設されたMachine Learning Showcaseが,今回もノースビルディング(ホールB)会場奥に,広大なスペースで設けられた。前回は48社が出展したが,今回はそれを大きく上回る79社が出展。特に中国企業の展示が急増しており,医療分野のAI研究の勢力図が1年の間に大きく様変わりしたことを実感させられる企画展示となった。中国企業の躍進が目立ったとは言うものの日本勢も黙ってはいない。前回,RSNAに初参加したエルピクセルが今回もブースを構えたほか,大日本印刷,NECがTechnical Exhibitsデビューを果たした。

エルピクセルは,前回のMachine Learning Showcaseでは,脳のMR画像から脳動脈瘤を検出する技術を紹介したが,今回はさらに領域を広げ,スクリーニングと救急の2つのカテゴリに分けて,デモンストレーションを行った。スクリーニングでは,脳動脈瘤の検出に加えて,白質病変のセグメンテーションや脳計測,胸部CTと胸部単純X線撮影,マンモグラフィの病変検出を紹介した。また,救急では,整形外科領域の単純X線撮影での骨折の検出技術を披露した。また,展示以外では,学会では,脳動脈瘤検出による読影精度を評価に関する発表も行われている。このように着実に事業を拡大しているエルピクセルであるが,2019年中にはFDAにAIソフトウエアの申請を行うとしており,そのための準備を進めているという。また,日本国内では,2018年10月から11月にかけて,オリンパス,富士フイルム,キヤノンメディカルシステムズが同社に出資するとアナウンスしている。今や日本を代表する医療AI企業となった同社の動きには,今後も注目していく必要がありそうだ。

初出展の大日本印刷は,マンモグラフィのCADとディープラーニングを用いた頭部CT画像から脳の出血を検出する技術を紹介した。同社は,印刷会社として一日の長がある画像処理技術を用いて,医療分野での画像認識の技術開発を進めてきた。マンモグラフィのCADはすでに医療機器認証に向けて手続きを進めており,早期の上市をめざす。製品としての展開は提携しているPSPのマンモグラフィビューワもしくはPACSに組み込んでの販売を想定している。

一方の脳出血の検出技術は,大阪大学の渡邉嘉之氏らと共同研究を行っている。頭部単純CT画像から出血の箇所をセグメンテーションすることで,救急において専門医が不在の場合などに診断を支援する技術として期待されている。

このほか,NECは,統計的な機械学習ではGPUよりも高速処理可能とされているベクトルプロセッサ搭載PCIeカードをセットした「SX-Aurora TSUBASA」を紹介していた。

多くの参加者を集めたMachine Learning Theater

多くの参加者を集めたMachine Learning Theater

 

エルピクセルのブース

エルピクセルのブース

 

エルピクセルが開発する胸部CT画像の病変検出技術

エルピクセルが開発する胸部CT画像の病変検出技術

 

大日本印刷のブース

大日本印刷のブース

 

大阪大学と共同研究する脳出血検出技術

大阪大学と共同研究する脳出血検出技術

 

NECブースで紹介していた「SX-Aurora TSUBASA」

NECブースで紹介していた「SX-Aurora TSUBASA」


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