Canon Clinical Report(キヤノンメディカルシステムズ)
2026年5月号
超音波6台と理学療法士が連携した運動療法の提供で患者の痛みに寄り添う診療を展開 ~Aplio meの高精細画像やSMIが病態の迅速な把握やエコーガイド下治療に貢献~
金沢泉が丘わたなべクリニック
金沢泉が丘わたなべクリニックは、渡邊孝治理事長 / 院長(以下、院長)が2017年に開院した整形外科の専門クリニックだ。渡邊院長が専門とする足の外科を中心に診療を行ってきたが、2025年にリハビリテーション(リハビリ)室の拡大、理学療法士の増員や超音波装置などの設備を拡充し、運動療法をメインに据えた診療体制にリニューアルした。従来の4台に加え、新たにキヤノンメディカルシステムズの超音波装置「Aplio me」2台を導入して、理学療法士と連携して患者の痛みに対する最善の治療を行う先進的な体制で診療を行っている。超音波を医師と理学療法士をつなぐ「共通言語」として診療に活用する渡邊院長とリハビリテーション科の理学療法士・成井 圭ジェネラルマネージャー(以下、GM)に取材した。
渡邊孝治理事長 / 院長 |
リハビリテーション科・成井 圭 GM |
足の外科を専門とする渡邊院長が2017年に開業
渡邊院長は、1998年に金沢大学医学部卒業、同大学整形外科に入局し、大学病院や石川県立中央病院で研鑽を積んだ。特に大学では、足の外科チームを立ち上げ初代主任を務めるなど、足の外科を専門として診療を行ってきた。県立中央病院では外傷センター長を務めていたが、開業の経緯について渡邊院長は、「自分の専門領域である足の外科を中心とした診療で地域に貢献したい、と考えて開業しました。開業当初は、クリニックでの外来診療に加え、医師登録をした近隣の病院で、膝から下の足の疾患について週1日4件程度の手術を自分で行うなど手術にウエイトを置いた診療を行っていました」と説明する。しかし、日々外来で患者と向き合う中で、次第に診療内容が変化していったと渡邊院長は言う。
「開業してわかったのは、これまで大学病院や市中病院で診ていた患者さんは氷山の一角で、水面下には重篤な症状はなくても日常生活に支障がある痛みや、痛みまでには至らない不快感を感じている人がたくさんいるということでした。整形外科専門の開業医の役割は、水面下の患者さんをいかに治すかだと改めて気がつきました。そういった患者さんの痛みに向き合うためには、手術だけではなく運動療法が大切だと実感し、理学療法士によるリハビリテーションの提供体制を充実させることにしました」
リハビリ部門を拡張して理学療法士と超音波による診療を拡充
クリニックは、2025年にリハビリ部門の充実を目的としてリニューアルを図った。リハビリ室を従来の倍以上の200m2へと拡大、ヨガ・ピラティスや運動療法のためのスタジオや屋上スペースを新設し、増える患者に対応するため待合室を拡大し、栄養指導のためのキッチンスタジオなども設けた。リハビリ室には、超音波装置のほか体外衝撃波(拡散型 / 収束型)など理学療法士が自由に使用できる装置を備えた。クリニックにはそのほか、X線撮影装置、オープン型MRI、骨密度測定装置などが導入されている。リニューアルについて渡邊院長は、「しっかりとしたリハビリを提供するには、理学療法士の力が必要で、理学療法士が生き生きと働ける環境を作りたいと考えました。リハビリ室を拡張し理学療法士が存分に活躍することで、本当の意味での運動器の保存療法が提供できます。設備や装置だけでなく、理学療法士の増員や育成も進めているところです」と述べる。現在、リハビリテーション科の理学療法士は7名だが増員を進めており、リハビリ部門のマネジメントを統括する責任者として成井GMが2025年9月に就任した。
Aplio me 2台を追加し超音波6台による診療を展開
同クリニックでは、開院から超音波を診療に活用しており、ポータブルタイプ4台を診察室とリハビリ室で使用していたが、今回のリニューアルに合わせて新たにAplio me 2台を導入した。その理由を渡邊院長は、「運動療法にウエイトが移るに伴って、超音波画像が必要になる場面が増えたことと、リハビリ部門の充実に必要な理学療法士のさらなるスキルアップのためです。理学療法士の技術の差をなくして、クリニックとしてある一定のレベル以上のリハビリを提供したいと考えていました。成井GMとも相談して、理学療法士のレベルアップには患者さんの病態をしっかりと評価することが重要であり、そのためには高画質の超音波装置が必要だと判断し導入に至りました」と述べる。成井GMはAplio meの導入について、「最初の勤務先が理学療法士が積極的に超音波を使う施設だったので、教育やスキルアップには超音波が必要だと考えていました。筋の走行や関節の構造などを超音波画像で理解するためには、高精細画像で微細な変化が描出できる装置が欠かせません」と言う。
現在、Aplio meは診察室とリハビリ室に各1台が設置されている。渡邊院長は診察ではほぼすべての患者に超音波を使うが、「まず症状がある部位にプローブを当てます。超音波で診ることで炎症や構造の異常がその場で把握でき患者さんの安心感や納得感につながり、診察のスピードアップにもなります。また、注射などのインターベンションはすべてエコーガイド下で行っています。針先や薬液の注入状況をリアルタイムに確認して的確に治療を進めることができます」と渡邊院長は言う。Aplio meについては、「最初は診察室で使うには少し大きいかなと感じていたのですが、思ったよりもコンパクトで取り回しがしやすく大きさは気になりませんでした。画像は精細であり、特に表在領域の描出はクリアで、MRIを撮るまでもなく超音波だけですむことが増えました」(渡邊院長)と評価する。
リハビリ室では、施術前後やエコーガイド下の衝撃波治療などにAplio meを活用している。理学療法士の超音波の活用について成井GMは、「同じ患者さんの病態を理学療法士は可動域や筋力評価、整形外科的テストなどで評価して医師と共有しますが、そういった評価方法の一つとして超音波を位置づけています。その中でも超音波は、医師と理学療法士をつなぐ共通言語の役割であり、同じ画像を診ることで迅速なコミュニケーションが可能になります。医師の診察時間が限られる中で、理学療法士がリハビリで行う超音波によって医師をサポートし、評価した結果を医師にフィードバックして最適な病態評価につながれば、患者さんにとっても大きなメリットです」と述べる。理学療法士との連携について渡邊院長は、「同じ患者さんでも関節内の病態は主に医師が注射などで、関節外は理学療法士が徒手や運動療法で行うことが多いですが、超音波で病変を把握することでターゲットが明確になります。関節外が原因だと思って出した患者さんが、理学療法士の超音波の評価で関節内にも問題があって戻ってくることもあり、超音波があることがスムーズな連携につながっています」と評価する。渡邊院長は、「超音波が共通言語と言っても、使う機種が異なったり、古い機種と新しい機種では画像の見え方が違います。それは口語と文語でのコミュニケーションぐらいの差があり、認識の違いや判断のスピードにも影響します。今回、Aplio meを2台導入して診察室とリハビリ室に置いたのも、それが理由の一つで、実際に導入してすぐに末梢神経の2mm程度の画像を医師と理学療法士で共有して、最適な治療につなげられた症例も経験しました」と述べる。
■Aplio meによる臨床画像
図1 膝蓋腱のツインビュー(左:Bモード、右:SMI)による観察
ツインビューで、SMIで膝蓋腱の炎症の状態と、Bモードでfibrillar patternの乱れを確認する(▲)。肥厚部分の情報を医師と理学療法士が共有して、体外衝撃波による治療につなげることができる
図2 SMIを利用したエコーガイド下の下内側膝神経へのアプローチ
下内側膝神経に沿って走行する内側下膝動脈をSMIで描出することで、正確なエコーガイド下アプローチを可能にする。
SMIを新生血管の確認やエコーガイド下治療に活用
Aplio meでは、微小血管や低流速の血流を描出する独自技術であるSuperb Micro-vascular Imaging(SMI)など豊富なアプリケーションも利用できる。渡邊院長は、肩の痛みに対するSAB(肩峰下滑液包)やCHL(烏口上腕靭帯)への注射、変形性膝関節症などへのエコーガイド下治療にSMIを活用している。Aplio meでは、モニタにBモードとSMIを並べて表示するツインビューが可能で、渡邊院長は、「インターベンションの際には、薬液が入るとSMIでは針先が見えなくなってしまうのですが、Bモードがあることでターゲットを確認しながら確実に針を進めることができます。1画面でBモードとSMIを切り替えて表示することもできますが、プロセスとゴールが同時に確認できるツインビューは手技がやりやすくて助かっています」と評価する。成井GMは、「ツインビューは膝やアキレス腱の腱障害で、腱や靭帯の状態(fibrillar pattern)と炎症の血流の両方を観察したい時に有効です。SMIはカラードプラに比べて微細な血管が確認でき、肩の評価で前上腕回旋動脈の血流を見る時に使っています」と述べる。
Aplio meは、モニタの高さ(230mm範囲)やスウィング角度など自由度が高いことが特長だが、成井GMはモニタの画面を下に向けるチルトの角度が大きいことを評価する。
「画面がほぼ平行にまで下げられるので、寝た状態の患者さんに対してそのまま患部の画像を見せて説明できます。起き上がる動作は数十秒ではありますが、限られた施術時間の中で効率的な診療につながっています」
リハビリ室でのAplio meの使用風景。モニタを下向きにチルトすることで、患者が寝たままで説明が可能
超音波を活用した診療のノウハウを生かし地域に貢献
同クリニックでは、診療の理念として地域への貢献を掲げている。成井GMは、「その一環として超音波を使った五十肩検診や腰椎分離症検診を行って、痛みや症状が出る前に対象患者をピックアップすることで地域住民の健康増進に貢献していきたいですね」と言う。渡邊院長は、「痛みや不快感を感じている患者さんにできるだけ多く対応できるように、分院なども含めてさらにクリニックを大きくしていきたいですね。また、超音波を使えるスタッフが多くいるので、地域のプロスポーツチームなどのサポートも行っていきたいと考えています」と展望を語る。
超音波装置と理学療法士が生き生きと活躍するクリニックのこれからの取り組みに期待したい。
(2026年3月5日取材)
*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。
一般的名称:汎用超音波画像診断装置
販売名:超音波診断装置 Aplio me CUS-AME00
認証番号:305ADBZX00027000
製造販売元:キヤノン株式会社

- 【関連コンテンツ】
