CANON・CTMR紹介 
谷口  彰(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 CTMR事業統括部CTMR統括ソリューション推進部)

2019-5-24


本講演では,キヤノンメディカルシステムズのCT・MRの最新技術や,ヘルスケアITの臨床応用の将来について報告する。

キヤノンメディカルシステムズがめざす統合ソリューション

キヤノンメディカルシステムズは,CTやMRI,循環器X線診断システム,X線TVシステム,超音波診断システムなどの放射線領域を中心とした画像診断システムと,検体検査やDNA検査などの体外診断システムを開発している。また,得られたデータを解析・統合し利活用するシステムを,ヘルスケアITという枠組みの中で開発・提供することに取り組んでいる(図1)。
近年,CTを中心に発生する膨大なデータを収集し,PACSでの保存・管理はもとより,Vendor Neutral Archive(VNA)を用いた継続性のあるデータの統合,共有を行っていく。また,さまざまなアプリケーションや人工知能(AI)の技術を用いて最先端の画像解析・定量解析を行うほか,得られた結果は医療情報統合ビューア「Abierto Cockpit」で,そのほかの検査結果や電子カルテの情報などとも融合し,最適なレイアウトで表示する。
このように,高精細データを最適なタイミングで提供し,効率的・効果的に活用していただくことで,質の高い診断・治療につなげることをめざしている(図2)。

図1 ヘルスケアITを中心とした統合ソリューション

図1 ヘルスケアITを中心とした統合ソリューション

 

図2 統合ソリューションにおける高精細データの利活用の流れ

図2 統合ソリューションにおける高精細データの利活用の流れ

 

CT・MRの最先端トピックス

1.CT・MRで高分解能,超高精細を実現する技術
キヤノンメディカルシステムズが提供する最新ソリューションとして,CTは超高精細CT「Aquilion Precision」や面検出器CT「Aquilion ONE/GENESIS Edition」,MRIはUltra High Gradientを実現した3T MRI「Vantage Galan 3T/ZGO」やワイド・ボアの1.5T MRI「Vantage Orian」を中心に展開している。さらに,臨床に特化したOlea解析ソフトウエアや画像処理ワークステーション「Vitrea」を用いて解析結果を提供する。
Aquilion Precisionは,スライス厚が従来の半分の0.25mm,チャンネル数は2倍の1792chを実現した新型検出器を開発したことで,150μmという空間分解能を達成した。X線管には電界によって焦点を絞る独自技術を搭載し,焦点サイズ0.4mmという微小焦点化を実現している。ガントリや寝台の剛性精度も向上させるなど,ハードウエアを一新することで,約30年間大きな進化がなかった空間分解能を2倍以上に向上させることができた。
また,CTでは高画質と被ばくはトレードオフの関係にあるが,当社独自のX線光学技術である“PUREViSION Optics”や新型検出器“PUREViSION Detector”の搭載などにより,被ばく低減と画質向上を両立させている。そもそも面検出器CTはX線のオーバーラップのないデータ収集を行うため,原理的に被ばく低減を前提とした装置と言える。
一方,MRIにおける高精細の実現には,傾斜磁場強度が重要であり,加えて,ハイパワーなシステムの実現には,振動や音の抑制,冷却にも高い技術が求められる。Vantage Galan 3T/ZGOでは,Ultra Gradient Coilを採用し,Direct Coolingによる高い冷却機能と,Rigid Core molding技術による振動抑制機構により,最大傾斜磁場強度(Gmax)100mT/mを達成した。

2.DLRの搭載
画質を向上するための画像再構成技術として,CTにおいては,従来のhybrid IRの“AIDR 3D”やMBIRの“FIRST”に加え,DLR(Deep Learning Reconstruction)の“AiCE(Advanced intelligent Clear-IQ Engine)”を開発し, Aquilion PrecisionとAquilion ONE/GENESIS Editionに搭載した。
DLRは,まず同一データセットの低画質画像(インプットデータ)と高画質な教師画像(ターゲットデータ)を数十万セット用意する。これらのデータはDeep Convolutional Neural Network(DCNN)を介して出力され,得られた出力データとターゲットデータの比較を繰り返して学習を重ねていく。このように,開発時に徹底的に鍛えたDCNNをCT装置に組み込み,実臨床で撮像された画像データの再構成を行う。DCNNの学習に使用される教師画像(ターゲットデータ)には,MBIRによるノイズやアーチファクト低減に加えて,空間分解能を向上させるモデルが含まれている。そのため,DCNNを用いた画像再構成では,ノイズ低減と空間分解能の向上の両立が可能となる。
MRIでも,DLRを開発中である。CTのDLRではノイズや被ばく低減が焦点となるが,MRIでは撮像時間の短縮と画質向上の両立が期待できる。

おわりに

キヤノンメディカルシステムズは,CT・MRの統合を進め,より最適なソリューションの提供を実現したいと考えている(図3)。CTでは,Dual Energyは,アーチファクトの低減や物質弁別など,さまざまな可能性を秘めており,従来以外のアプローチでの臨床応用が期待されている。MRIでは,高空間分解能な拡散強調画像(DWI)やUltrashort TE,圧縮センシングによる撮像時間短縮などが注目されている。そして,われわれは,これらにAIのDLRを組み合わせることで,より短時間で高画質な画像の提供に取り組んでいく。さらに,AIをコンピュータ支援診断(CAD)などにも応用し,ヘルスケアITと一体となって提供していきたいと考えている。

図3 CT・MR:Health Care IT solution(W.I.P.)

図3 CT・MR:Health Care IT solution(W.I.P.)


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