AI技術開発を推進しGlobal Standard CTの新時代へ 
田口  亘(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 上席常務 CTMR事業統括部部長)

2019-11-25


田口  亘(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 上席常務 CTMR事業統括部部長)

Area Detector CTの世界的な普及と医療被ばくの低減に向けて

今回で9回目を迎えた「Global Standard CT Symposium」は,ユーザーの皆さまに,キヤノンメディカルシステムズがめざす次世代スタンダード技術について報告させていただく機会としております。また,320列Area Detector CT(ADCT)「Aquilion ONE」をGlobal Standard CTとして世界に普及させ,新しい臨床研究をアップデートするとともに,“国内CT医療被ばく半減プロジェクト”を進め,その進捗を報告することを趣旨としてきました。2011年の第1回開催時には,被ばく低減技術である逐次近似応用再構成法“Adaptive Iterative Dose Reduction 3D(AIDR 3D)”のCT装置への標準搭載をお約束いたしましたが,その後,すべてのラインアップへの搭載を進め,現在,国内で稼働する約1万3000台のCTのうち,約5500台にAIDR 3Dの搭載が実現されております。今後も引き続き,被ばく低減技術を搭載したCTの普及を通して,医療被ばくの低減に努めてまいります。

世界で初めてCT装置にDeep Learning再構成技術を搭載

2018年,キヤノンメディカルシステムズが進めるAI技術開発の第一弾として,Deep Learning再構成“Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)”を製品化し,世界で初めてCT装置に搭載しました(図1)。AiCEは,これまでの被ばく低減技術の課題となっていた低被ばくと画質のバランスにおいて,新しい効果を発揮いたします。現在,320列ADCTであるAquilion ONE,高精細CTである「Aquilion Precision」にAiCEを搭載し,臨床で活用されるようになってまいりました。今後はこの2機種以外にもAiCEを搭載することで,さらにCT検査の被ばく低減と画質向上に取り組んでまいります。また,MRI装置にも,撮像時間の短縮と画質向上のため,AiCEの順次搭載を開始しております。

図1 世界初のDeep Learning再構成Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)を搭載したCT装置

図1 世界初のDeep Learning再構成Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)を搭載したCT装置

 

AI技術開発の第二弾として“Spectral Imaging System”を発表

2019年7月,新しいCT技術として,Spectral Imaging Systemを発表いたしました(図2)。これは,AiCEに続くAI技術開発の第二弾として,320列ADCT「Aquilion ONE/GENESIS Edition」に搭載する新しいDual Energyシステムです。皆さまの期待に応える新しいCTの臨床応用を可能にするAquilion ONEをGlobal Standard CTとして,これからも開発に取り組んでまいります。

図2 キヤノンメディカルシステムズのCT技術の進歩

図2 キヤノンメディカルシステムズのCT技術の進歩


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