第2回 医療現場のワークフロー変革セミナー 2019

2020年1月号

データ活用 セッション2

次世代の画像データ活用 マルチベンダーで目指すオープンコネクト施策

大越  厚(GEヘルスケア・ジャパン株式会社EDS本部チーフデジタルストラテジスト)

大越  厚

本講演では,GEが提供するVNAとOCDB(Open Coonect Database)について,そのメリットなどを紹介する。その後に,6ベンダーによるオープンコネクトツールライブデモを行う。

DICOMweb採用のVNA

従来,マルチベンダーでの画像の共有・連携では,DICOM Query/Retrieve(Q/R)を用いるのが一般的であった。しかし,DICOM Q/Rでの画像取得は時間を要し,実際のフィルムレス運用においては実用的ではなかった。そこで,DICOM Q/Rに代わり,DICOMwebが規定された。DICOMwebは,高速なデータの送受信を可能にする標準規格で,非常に効果の高い技術である。
GEでは,DICOMweb採用のVNAと各ベンダーのビューワとの接続テストを行った。DICOMwebは,DICOM Q/Rと比較して,数倍から数十倍速く画像の送受信が可能である。ただし,同一ベンダー間での独自規格を用いたデータの送受信と比較すると,わずかに遅い。診療現場では1秒でも速い画像表示が求められることから,このわずかな差をなくすことが重要である。

OCDBによるオープンな環境

そこで,GEではOCDBを開発した。OCDBは,VNAのデータベースからビューワが事前に取得しておくべき情報を公開データベースとして開示する。そして,ビューワ側はOCDBに対しSQLで,事前に情報を取得できるようにした。さらに,画像の取得はDICOMwebのWADO-RSを用いる。WADO-RSは高速のため,画像の展開やレイアウトなどに必要な情報を事前に取得しておくことで,表示速度が非常に速くなる。
GEでは,このOCDBによって,VNAを中心に,読影ビューワや循環器動画ビューワ,内視鏡ビューワなど,診療科や医師ごとに最適なビューワを利用できる環境を提供する(図1)。従来は,ビューワごとに専用サーバが必要であったが,VNA+OCDBによって不要となり,コストを抑えることができる。また,VNA+OCDBならば,画像の形式や時間的な制約を受けずに,一元管理されたデータを高速に取得できる。

図1 OCDBにより診療科や医師ごとに最適なビューワを利用可能

図1 OCDBにより診療科や医師ごとに最適なビューワを利用可能

 

さらに,OCDBはシステム更新時にも有用である。異なるベンダーのシステムにデータを移行する場合,データ移行漏れチェックのためにデータベースのリスト出力が必要となるが,そのコストが非常に高額となり,ベンダー変更の障壁となっている。OCDBならば公開データベースのため,低コストでシステム更新が可能となり,データの移行も容易で,オープンな環境を構築できる(図2)。

図2 システム更新時に低コストでのデータ移行を実現

図2 システム更新時に低コストでのデータ移行を実現

 

オープン戦略を基にパートナーシップを推進

GEではオープン戦略を基に,標準規格に則って相互運用性を高め,多くのベンダーとのパートナーシップを強力に推進し,医療機関の課題解決やアウトカムに貢献していく。

オープンコネクトツールライブデモ

セミナー会場内にはGEのVNAサーバが用意され,OCDBを用いて,胸部CT(1119画像),胸部CR(2画像),(いずれもDICOM準拠のJPEG Lossless画像)を各ベンダーのビューワで表示するオープンコネクトツールライブデモが行われた(図3)。
なお,各ベンダーは会場後方にブースを設けて,参加者にビューワなど自社製品のPRを行った。

デモを行ったベンダー
・ファインデックス
・ジェイマックシステム
・京都プロメド
・PSP
・横河医療ソリューションズ(現・富士フイルム医療ソリューションズ)
・富士通

図3 オープンコネクトツールライブデモ

図3 オープンコネクトツールライブデモ

 

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