Philips INNOVATION and VALUE(フィリップス・ジャパン)

2026年6月号

24時間365日「断らない医療」の実践を支えるCT装置としてフィリップス製「CT 5300」を導入 ─AI技術の活用による画質および検査効率の向上とX線管球保証によるコスト最適化に期待

社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院

社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院

 

社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院(福岡県久留米市)は,九州で最大規模の病床数1097床を誇る地域中核病院である。「24時間365日,すべての患者さんを断らない」をモットーに救急医療を展開していることから,診療を支える画像診断件数は膨大である。なかでもCTは全身のあらゆる領域の検査に対応するため,ハイエンド装置はもとより,スタンダード型装置においても心臓CTなど特殊検査に対応可能な十分な機能や高画質のデータ取得が求められる。そこで,同院では,上記の条件を満たす装置として,他社製64列CTをフィリップス製の「CT 5300」へと更新した。CT 5300の導入の経緯と初期使用経験について,放射線科診療部長の西原雄之介氏,診療放射線室室長の寺崎博之氏,診療放射線技師の今田 洋氏にお話を伺った。

西原雄之介 部長

西原雄之介 部長

寺崎博之 室長

寺崎博之 室長

今田 洋 技師

今田 洋 技師

 

幅広い要望に応える機器を備え病院全体の診療を迅速に支援

聖マリア病院は,1953年の開設以来,70年以上にわたり地域の急性期医療を支えてきた。2025年には,救命救急センター,脳卒中・循環器病センター,生活習慣病センター,こども家庭医療センター,がんセンター,診療支援センターの6つのセンター制を始動し,専門性を高めつつ,それぞれが連携しながら医療の質の向上へとつなげている。また,2026年2月には,世界で最も厳しいと言われる審査基準を持つJCI(Joint Commission International)認証を取得。国際基準においても安全性と高品質な医療の提供といった観点で一定の水準を満たしている施設として認められた。
同院の6センターのうち,放射線科は診療支援センターに属している。診療放射線室は全センターを放射線部門として横断的に支援する位置づけであり,そのための体制づくりが求められる。画像診断装置は,CT 3台,MRI 3台,血管撮影装置 4台,PET-CT 1台,SPECT 2台などを設置。画像検査の件数は非常に膨大で,なかでも年間のCTの検査件数は,中央診療棟に設置されている256列Area Detector CT(ADCT)と64列CTの2台で約2万2000件,救急CT室のCTが1台で約2万2000件,合計約4万4000件に上る。これらの装置による検査および読影は,45名の診療放射線技師と6名の読影医が,平日,休日ともに昼夜を問わずローテーションを組んで行っており,遠隔読影の環境も整えて迅速かつ質の高い結果の提供に努めている。

「CT 5300」選定の決め手はAI画像再構成とX線管球保証

こうした状況の中,3台のCTのうち64列CTが,保守契約の終了に伴い更新時期を迎えた。寺崎室長は,「新しい装置の選定に当たっては,汎用性が高く,従来どおりの検査数を維持できることや,ADCTの故障や更新時にバックアップの役割が担えることを重視しました」と話す。特に,近年,検査件数が急増している心臓CTに対応可能な画質と性能を有することが求められた。
最終的にCT 5300が選定された理由について,寺崎室長は,「心臓CTで良好な画像が得られることを前提とした上で,大きなポイントとなったのが『Tube for Life』です」と話す。Tube for Lifeは,保守契約を結ぶことで同社の10年間の耐用期間中におけるX線管球の交換を完全に保証するサービスで,管球切れなどの際に発生する突然の高額な費用負担が不要となる。寺崎室長は,「当院は検査件数が多いため管球交換の頻度が高く,また,突然の故障も非常に困ります。Tube for Lifeによって10年間保証されるのであれば,メーカーも管球の耐久性に自信を持っているのだろうと考えました」と説明する。
一方,西原部長は,もう一つの大きな選定理由として,AI画像再構成の「Precise Image」を挙げ,次のように述べている。
「各社ともにディープラーニングを用いた画像再構成に力を入れていますが,その中で,Precise Imageの画質に良い印象を受けました。CT 5300は64列128スライス装置ですが,3D-CTAの画質が良好で,256列ADCTのバックアップとしての役割を担えると期待しました」

Precise Imageで画質が改善し放射線診療の質の向上に貢献

CT 5300は2026年1月に稼働を開始し,すでに3000件以上の検査が行われている。撮影は領域を問わず全身をまんべんなく行っているが,脳血管や心大血管の3D-CTA,心臓CTなどの特殊検査は主にADCTで行い,CT 5300では単純やルーチンの検査を中心に行っている。寺崎室長はCT 5300導入後の変化について,「頭部や頭頸部のCTAのうち,CT 5300では画質が向上したことで,約6割の撮影を担うようになりました」と話す。術前検査などの特殊系の検査をCT 5300で積極的に行えるようになったことで,ADCTが空くのを待つ時間も短縮している。
また,こうした変化の根幹を成す技術が,AI画像再構成のPrecise Imageである。西原部長は,実際の画質について,「Precise Imageは,ノイズのみを巧みに処理した自然な質感の画像のため,目が疲れにくく読影しやすいです。頭部3D-CTAなどの画質も明瞭なため,迷いなく迅速な診断につながり,確信度が向上していると感じます。さらに,フォローアップの症例でも,Precise Imageを使用することで画質を向上させながら,被ばくが半分程度に低減しており,技術の進歩を実感しています」と評価している。
実際に,CT 5300では,胸腹部や頭部において線量低減が確認されており,診断参考レベル(Japan DRLs 2025)の値も余裕を持ってクリアしている。また,100kVでの低管電圧撮影では線量および2割程度の造影剤量の低減が可能であるが,管電圧を下げることで発生する画像ノイズをPrecise Imageで低減することで,高体重の患者においても診断に十分な画像が得られ,患者の負担軽減につながっている。 

[CT 5300の臨床画像](画像提供:社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院)

胸部大動脈瘤に対して全弓部置換術後 心電図同期ヘリカル撮影により大動脈弓部の拍動を抑制し,吻合部をクリアに抽出

胸部大動脈瘤に対して全弓部置換術後
心電図同期ヘリカル撮影により大動脈弓部の拍動を抑制し,吻合部をクリアに抽出

 

頭頸部3D-CTA(脳底動脈瘤) Precise Imageの適用によりノイズの少ない3D作成が可能

頭頸部3D-CTA(脳底動脈瘤)
Precise Imageの適用によりノイズの少ない3D作成が可能

 

腹部造影CT(造影平衡相,体重90kg) 線量・造影剤を低減してもPrecise Imageでノイズの少ない明瞭な画像を取得

腹部造影CT(造影平衡相,体重90kg)
線量・造影剤を低減してもPrecise Imageでノイズの少ない明瞭な画像を取得

O-MARにより金属スクリューが鮮明になり,周辺の黒い欠損も抑制されている。

O-MARにより金属スクリューが鮮明になり,周辺の黒い欠損も抑制されている。

 

自動ポジショニングなどのAI技術が検査の効率化を推進

CT 5300に搭載されたAI技術によって,ワークフローにも変化が見られている。同院では,AIを用いたスマートカメラを搭載した「Precise Position」とハイスピードなロングテーブルの組み合わせにより,一部検査ではポジショニングの自動化と高速化が図られた。今田技師は,「Precise Positionでは,部位を選択するとボタン一つでポジショニングが完了します。手動で行うよりも寝台の移動速度が速く,担当者によるポジショニングの精度のバラツキが少ないという利点も感じています」と話す。
また,コンソールでは,冠状断像や矢状断像,MPR画像などを,ボリュームデータを再構成することなくraw dataから直接作成できるため,画像再構成の待ち時間の短縮に寄与している。Precise Imageの画像再構成速度も速く,今田技師は,「Precise Imageの画像再構成でストレスを感じることはありません」と述べている。

心臓・頭部・小児におけるAI技術活用への期待

装置更新時に同院が最も重視した心臓CTの機能としては,AIを活用したモーションフリー画像再構成機能「Precise Cardiac」が搭載されている。寺崎室長は今後の展望として,「Precise Cardiacがどのような症例に有効か検証を進め,早い段階でCT 5300で心臓CT検査を行えるようにしていきたい」と語る。また,頭部領域では,ヘリカル撮影画像からOMラインに沿った画像を自動作成するAI技術「Precise Brain」についても検証が進められる予定だ。
CT 5300は導入から間もないため,まだ十分に活用されていない機能も多いが,西原部長と今田技師は,特にPrecise Imageを積極的に活用していきたいと口をそろえる。その一つとして,今田技師は,Precise Imageを将来的に小児領域に適用するための検討を行っていきたい考えだ。CT 5300の持つポテンシャルがさらに引き出されることで,患者の救命にどこまで貢献できるのか,今後の展開が期待される。

(2026年4月8日取材)

*AI技術は設計にDeep LearningまたはMachine Learningを使用しており,実装後に自動的に装置の性能・精度が変化することはありません。

販売名:全身用X線CT装置 CT 5300
医療機器認証番号:306AFBZX00013000
設置管理医療機器/特定保守管理医療機器
管理医療機器

 

社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院
〒830-8543 福岡県久留米市津福本町422
https://www.st-mary-med.or.jp/

 

    モダリティEXPO

 

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