Canon Clinical Report(キヤノンメディカルシステムズ)

2022年4月号

高画質と自動化技術を搭載した最新80列CTを導入し地域の中核病院として急性期医療を展開 〜ガントリ内蔵カメラやタッチパネル、3D Landmark Scanによる自動化ワークフローを実現〜

白十字病院

社会医療法人財団 白十字会 白十字病院

 

福岡市西区の白十字病院は、開院40周年を機に新築移転し、急性期医療に特化した病院として2021年4月に診療を開始した。2022年3月、同院にキヤノンメディカルシステムズの最新機種である80列CT「Aquilion Serve」が世界第1号機として導入された。Aquilion Serveは、ガントリやコンソールなどのハードウエアを一新し、患者のポジショニング、スキャン計画、撮影後の画像作成までを自動化して、CT検査のワークフローを最適化する新しいコンセプトで開発された最新CTである。その初期経験について、地域医療支援病院として救急医療など高度急性期医療を提供する白十字病院の診療の現況を含めて取材した。

渕野泰秀 病院長

渕野泰秀 病院長

脳血管内治療科・福田健治 部長

脳血管内治療科・
福田健治 部長

放射線科・中島力哉 部長

放射線科・
中島力哉 部長

放射線技術部・山口広之 係長

放射線技術部・
山口広之 係長

 

40周年を機に急性期に特化した新病院をオープン

福岡市西区の白十字病院は1982年に開院。40年にわたって地域の医療を支える基幹病院として診療を行ってきたが、2021年にケアミックス型だった466床の病院を2つに分け、急性期に特化した新病院を約300m南にオープン、従来の施設は回復期に特化した白十字リハビリテーション病院(160床)となった。新病院は282床で、32診療科、脳卒中、心臓・弁膜症など11センターを設け、ハイブリッド手術室を含む6つの手術室などを整備して高度医療に対応する体制を整えている。渕野泰秀病院長は、新しい白十字病院が担う役割として、(1) 高度専門医療、(2) 救急医療、(3) 在宅療養後方支援、(4) 健康なまちづくりの4点を挙げ、診療のポイントを次のように述べる。
「高齢化や医療技術が高度化する中で、病院にはより機能を特化させることが求められています。白十字病院も40周年を機会として、分院しそれぞれに機能を特化した病院とすることが、より地域に貢献できると考えました。新病院では、救急医療を中心に高度専門医療の提供と在宅療養の支援という機能を強化しました」
同院の救急医療は、年間4000台の救急車を受け入れている。渕野病院長は、「増え続ける救急医療へのニーズに対応するため、救急部門のCTとして新たに導入したのがAquilion Serveです」と述べる。

救急部門の迅速検査に対応するAquilion Serve

Aquilion Serveは、Deep Learning技術を応用した画像再構成技術“Advanced intelligent Clear-IQ Engine-integrated(AiCE-i)”などの高精細・低被ばく技術と自動化技術で、救急撮影などでの迅速な検査を支援する。同院では、新病院開設時から320列の「Aquilion ONE/NATURE Edition」(以下、Aquilion ONE)が稼働している。Aquilion Serveは救急センターに隣接した部屋(放射線部門の高度画像センター)に設置され、救急患者を直接CT室に搬入できる。渕野病院長はAquilion Serveについて、「以前はAquilion ONE1台で救急を含めて1日50件以上の検査を行っていました。高精細画像と検査の自動化によって、増え続ける救急患者への迅速な対応と適切な処置を可能にすることを期待しています」と述べる。
Aquilion Serveに期待されるのが急性期脳梗塞に対する対応だ。脳血管内治療科の福田健治部長は、同院での急性期脳梗塞診療について、「福岡市西区、糸島市では年間1000件の脳卒中患者が発生し、そのうち当院では約400件を対応しています。移転後は、ハイブリッド手術室など直達手術や血管内治療に対応できる最新の設備を導入し、さまざなま脳卒中治療が行える体制を整えました。Aquilion Serveが導入されたことで、より迅速な対応が可能になると期待しています」と述べる。

ポジショニングから画像表示まで自動化しワークフローを効率化

Aquilion Serveは、ガントリにポジショニングを補助するカメラや操作・説明のためのタッチパネルを備えたほか、ラウンドデザインを採用して筐体のコンパクト化を図った。検査時には、ガントリカメラやタッチパネル、“3D Landmark Scan”でポジショニングからスキャン計画、撮影後の画像表示までを自動化する。

〈自動ポジショニング〉
ガントリボア内の上部と側面の2か所に内蔵されたカメラで、寝台の患者の映像をコンソール上で確認できるほか、映像を用いて自動ポジショニングをする“Automatic  Camera Positioning”を可能とする。患者を寝台にセッティングし、タッチパネルで部位を選択すれば、あとは寝台移動ボタンを押すだけで検査部位に適した撮影開始位置まで寝台が移動する。放射線技術部の山口広之係長は、「ポジショニングの時間が大きく短縮しました。また、患者さんと接触する機会が少なくなり、コロナ禍では感染予防にも有効だと感じています」と述べる。

ガントリ内蔵カメラとタッチパネルを利用したAutomatic Camera Positioningでワンボタンでポジショニングが終了

ガントリ内蔵カメラとタッチパネルを利用したAutomatic Camera Positioningで
ワンボタンでポジショニングが終了

 

〈タッチパネル〉
Aquilion Serveには、ガントリ前面左右にタッチパネルが搭載された。タッチパネルでは、グラフィカルなデザインとシンプルなユーザーインターフェイス(UI)で位置合わせや寝台移動をサポートする。山口係長は、「物理的なボタンではなくタッチパネルになったことや、ガントリにはグロスペインティングが採用されていることで、清掃性が向上しました。コロナ禍で消毒が日常業務になっている中では助かっています。また、タッチパネルは抗菌仕様にもなっているため、感染症対策に有効だと思います」と述べる。また、ガントリ開口径は800mmとなり、寝台の左右動±85mmと併せて自由度の高い検査が可能になっている。

ガントリに搭載されたタッチパネルの画面

ガントリに搭載されたタッチパネルの画面

 

〈3D Landmark Scan〉
3D Landmark Scanには、従来のスカウト撮影に代わりヘリカルスキャンで位置決めデータを収集して、得られた画像から骨や臓器、筋肉などの位置情報を解析し、自動で撮影範囲を決定する機能“Anatomical Landmark Detection”が搭載されている。スキャンには“SilverBeam Filter”を用いることで、従来のスカウト撮影1方向分と同等の低線量で撮影できる。山口係長は、「3D Landmark Scanでは3Dデータを基に自動で撮影範囲を設定してくれるので、誰でも簡単にスキャン計画が立てられ、撮影時間が短縮してスループットが向上しています。また、アキシャル画像を基に本スキャンのFOVを決定できるので、画像欠損などのミスが起こりにくいのもメリットです」と述べる。
3D Landmark Scanの画像は急性期脳梗塞診療でも活用できる可能性があると、福田部長は次のように言う。
「3D Landmark Scanでは、位置決めのための最初のスキャンでアキシャル画像が表示されます。診断には使いませんが、脳出血があるかどうかが、撮影の最初の段階で見当がつくことは大きなメリットです。一刻を争う急性期脳梗塞の診断で、脳出血か梗塞かの鑑別が大まかにでもつけられることは、治療開始の時間を早めて予後の改善にもつながることが期待できます」

〈Automatic Hanging Layout〉
Aquilion ServeのコンソールはUIが一新され、直感的な操作が可能になった。27インチの4K液晶モニタが採用され、より大画面で画像を確認して検査が進められる。新たに搭載された“Automatic Hanging Layout”では、部位や検査種別ごとに表示させるレイアウト(断面方向、MPR、VRなど)をあらかじめプリセットすることで、撮影終了後データを選択するだけで画像が自動的に指定されたレイアウトで表示される。山口係長は、「MPR画像や3D画像を作成する手間を省略することが可能で、すぐに画像が確認できます。救急でも技師の画像処理を待たずに医師が結果を参照できるので、素早く処置に当たれることはメリットになると考えられます」と述べる。

■Aquilion Serveによる臨床画像(同一患者)

Aquilion Serveによる臨床画像(同一患者)

 

AiCE-iによる画質向上と低被ばく検査を提供

Aquilion Serveは、X線光学系技術“PUREViSION Optics”などフラッグシップ機の技術をベースに、AiCE-iやAIDR 3D Enhanced、金属アーチファクト低減技術“Single Energy Metal Artifact Reduction(SEMAR)”といった画像再構成技術と併せて高画質で低被ばくな検査を実現している。放射線科では、常勤医2名と非常勤医師を含めた体制でCT、MRI、核医学(RI)、IVR(腹部)に対応し、画像診断管理加算2を取得している。放射線科の中島力哉部長はAquilion Serveの運用について、「Aquilion ONEとの2台体制になりますが、Aquilion Serveでは救急を中心に予約外の迅速検査に対応しています。Aquilion ServeではAiCE-iによってAquilion ONEと遜色ない画像が得られています」と述べる。また、被ばく低減について中島部長は、「AiCE-iによってノイズが低減し、低線量での検査が可能になっています。また、3D Landmark Scanの画像は、“RealPrep.”(ボーラストラッキング法)のモニタリング画像として使用できるため、被ばく低減にもつながることが期待されます」と言う。
渕野病院長は病院の将来像について、「地域医療支援病院として救急医療への注力はもちろんですが、地域の医療機関との連携、協働体制を構築していくことが重要です。新しいCTを含めて地域を支えるための体制をしっかりと構築していきます」と述べる。Aquilion Serveが地域の急性期医療をさらに押し上げていくことが期待される。

(2022年3月7日取材)

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Serve TSX-307A
認証番号:304ACBZX00001000

※AiCE-iは画像再構成処理の設計段階でDeep Learning技術を用いており、本システム自体に自己学習機能は有しておりません。

*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。

 

社会医療法人財団 白十字会 白十字病院

社会医療法人財団 白十字会 白十字病院
福岡県福岡市西区石丸4-3-1
TEL 092-891-2511
https://www.fukuoka.hakujyujikai.or.jp/

 

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