Canon Clinical Report(キヤノンメディカルシステムズ)
2026年11月号
月1000件のPET検査で地域医療に貢献する専門クリニックがCartesion Primeを導入 〜大視野・高感度PET-CT導入により検査効率向上と患者負担軽減を両立〜
ゆうあいクリニック
ゆうあいクリニック(神奈川県横浜市)は、PET検査を中心に画像診断を提供する検査専門クリニックであり、20年以上にわたり地域医療機関の共同利用施設として、また、がん検診や人間ドックを提供する健診施設として、質の高い検査サービスを展開してきた。同院では2025年5月、体軸方向27cmの大視野検出器と高感度・高時間分解能を備え、80列CTを搭載したキヤノンのデジタルPET-CT「Cartesion Prime / Luminous Edition」を導入し、検査依頼に対してこれまで以上に迅速かつ高精度に応える検査環境を構築した。導入の経緯や高スループットを可能にする運用の実際について、放射線技術部の菅野智之部長と神林健児係長に取材した。
菅野智之 部長 |
神林健児 係長 |
充実の設備で地域医療機関を支える画像診断クリニック
ゆうあいクリニックは、「がんの総合検診」と「地域医療機関の共同利用施設」をコンセプトに、2004年に画像診断専門クリニックとして開院した。当時は2002年にFDG-PET検査が保険適用となり、医療機関でPET導入が検討され始める中、同院は開院時にアナログPET装置を6台整備し、地域の検査需要に応える体制を整えた。菅野部長は、「地域の病院・クリニックの先生が検査を必要とする時に、スムーズに検査を提供することをめざして運営してきました。FDG-PETについてはサイクロトロンを2台設置して薬剤を院内製造しており、日曜祝日の検査実施に加え、当日の依頼にも柔軟に対応できるようにしています」と話す。
新横浜駅から地下鉄で一駅とアクセス性も高いことから、首都圏を中心に多くの医療機関から紹介患者を受け入れ、開院から20年以上にわたって国内最大級の検査実績を積み重ねてきた。県内4病院には、検査予約や検査説明を行うサテライト窓口を設置するなど地域医療機関と緊密に連携し、迅速な検査の提供、そして必要に応じて適切な精密検査・治療への橋渡しに努めている。同院では、PET検査の約9割が診断目的の紹介検査となっており、共同利用施設としての役割を全うしていることがうかがえる。
現在はPET-CT 3台に加えて乳房専用PET 1台を備え、月に約1000件のPET検査を実施。大部分がFDG-PETで、約5%がアミロイドPET(デリバリー薬剤)となっている。PET装置のほか、MRIを2台、超音波装置を2台、マンモグラフィ1台をそろえ、紹介検査と各種がん検診、人間ドックに対応している。
依頼検査に迅速に対応するため大視野検出器PET-CTを導入
開院時に導入したPET単独装置は、アナログPET-CTに順次更新し、近年は4台のPET-CTで検査を提供してきたが、このうちの1台が更新時期を迎えたことがCartesion Prime / Luminous Edition導入の契機となった。装置の選定は放射線技術部主導で進められたが、その選定方針について菅野部長は、「月に1000件近いPET検査を行う当院では、依頼される検査にスムーズに対応するために高いスループットが最も重要でした。そのため、高感度な半導体検出器搭載装置であることを前提に選定しました」と述べる。各メーカーの装置を比較検討し、導入施設の見学も行った結果、Cartesion Prime / Luminous Editionの導入を決定した。特に採用の決め手となったのが、体軸方向27cmの大視野検出器である。菅野部長は、「大視野により従来よりも少ない5ベッド程度の収集で全身検査が可能と判断しました。また、高感度による収集時間短縮や薬剤投与量の低減、238ピコ秒(Typical値)のTOF時間分解能による画質や定量性の向上にも期待しました」と説明する。PET装置としての高い基本性能に加え、装置設計も選定理由になったと、菅野部長は次のように述べる。
「過去にチラーの故障によって検査がうまく進行できなかったこともあったため、そのリスクを排除できる空冷方式によるチラーレス設計を高く評価しました」
患者の乗降を支援する低床寝台や80列CTによるCT画質の向上なども含め、PET-CT検査の質と運用を改善しうる装置として同院に選ばれたCartesion Prime / Luminous Editionが、2025年5月より稼働を開始した。
収集時間半減で検査効率が向上PET-CT 3台体制に移行
装置更新により、同院のPET検査の運用は大きく変化した。FDG-PET検査は基本的にCartesion Prime / Luminous Editionで実施し、薬剤投与後70分を超える可能性がある場合には、既設のアナログPET-CTで撮像する運用とした。検査は通常、頭頂部から大腿基部までの範囲を撮像しており、従来のアナログPET-CTでは1ベッド120秒収集で、機種により5〜8ベッドを撮像し、検査時間は11〜16分を要する。一方、Cartesion Prime / Luminous Editionでは1ベッド60秒収集、5または6ベッド撮像で5〜6分で検査が終了する。神林係長は、「実質的に検査時間は半分以下になりました。現在は1日平均40件程度のPET検査を行っていますが、そのうち約25件をCartesion Prime / Luminous Editionで撮像しています。多い時には1日33件を1台で実施したこともあります」と述べる。
同院では、もう1台のアナログPET-CTの更新を予定していたが、Cartesion Prime / Luminous Edition導入により検査スループットが予想以上に向上したことから、装置計画を見直し、更新をせずに2025年10月から3台体制へと移行した。菅野部長は、「PET-CT装置は精密機器のため、保守費用も高額です。装置台数を1台減らせたことによる経営効果は非常に大きいと感じています」と語る。
PET検査はこれまで1台につき診療放射線技師1名で行ってきたが、Cartesion Prime / Luminous Editionでは、効率と安全性の両立を図るため、あえて2名体制をとっている。同院では、診断目的の検査の割合が年々高まっており、車椅子で来室する高齢患者も多い。菅野部長は、「がん患者さんが多いので、ご本人や付き添いのご家族の負担を考え、待ち時間の短縮と検査の安全性を重視しています。2名体制なら、患者さんの入れ替えや撮像を効率よく進めながら、ADLの低い方の介助やトイレ誘導にも丁寧に対応できます」と説明する。検査時間の短縮は患者の負担軽減にも直結するが、神林係長は、「『以前より検査が短かったけれど大丈夫ですか』と心配されるほどです。経過観察でPET検査を繰り返し受ける患者さんも多く、時間短縮を実感されています」と述べる。
■Cartesion Prime / Luminous Editionによる画像
画質向上を可能にするAiCE-iで線量を低減し患者負担を軽減
検査効率の向上だけでなく、画質についても高い評価が得られている。Cartesion Prime / Luminous Editionでは、ディープラーニングを用いて設計された画像再構成技術「Advanced intelligent Clear-IQ Engine-integrated(AiCE-i)」をCT画像だけでなくPET画像にも適用でき、ノイズ低減とコントラストの改善が図られている。ただし同院では、現時点でPET画像の再構成にAiCE-iを適用していない。半導体検出器による分解能・感度の向上だけでも、従来1ベッド90~100秒収集を行っていたアナログPET-CTとの画質差が大きく、アナログ装置の収集時間を120秒に延長した経緯があるためだ。AiCE-iを適用すれば差はさらに広がることから、装置間での画像の均質性を優先している。神林係長は、「従来装置よりも検査時間が大幅に短縮しているにもかかわらず、画質は向上している印象です。当院の放射線科医全員がPET核医学認定医ですが、医師からも画像が見やすい、診断しやすいという評価を得ています。集積部位の辺縁がシャープになるだけでなく、PET画像だけでも血管走行が明瞭に見えるようになるなど、分解能向上を実感しています」と語る。AiCE-iによる画質向上は、今後アナログ装置を更新した際に生かせる“伸びしろ”として残されている。
同院では、CT検査にPET-CT装置を用いるとともに、FDG-PET検査では胸部CTも撮影し、全身と肺野の検査・診断を院内で完結する方法をとってきた。CTが従来アナログPET-CTの16列から80列に進化したことで、胸腹部撮影時の息止めが約20秒から6秒程度に短縮し、患者の負担軽減と呼吸性アーチファクトの低減を実現している。
線量についても、全身(頭頂部から大腿基部)PET-CT撮像においては、CTDIvolが従来の8mGyから4mGyへと半減している(診断参考レベルは5.4mGy)。高精細画像と被ばく線量低減を両立しており、繰り返し検査を受ける患者にとって大きなメリットとなっている。
高性能PET-CTを最大限に活用し診療・検診で地域医療に貢献
Cartesion Prime / Luminous Editionは検査スループットを大きく向上させ、同院の期待に応えている。その上で、今後のPET-CT装置への期待として、菅野部長はTOF時間分解能の向上やさらなる大視野化を挙げる。また、神林係長は、操作におけるAIサポート機能を挙げ、「PET検査はあまりイレギュラーな操作をすることがないため、急な撮像範囲の変更や再撮像などの際に直感的に操作できるような機能が実装されると、より使いやすくなると思います」と期待を示す。
同院では、2026年7月から胃と大腸の内視鏡検査も開始した。PETが苦手とする領域を内視鏡検査で補完することで、より精度の高いがん検診体制の構築をめざしている。今後について菅野部長は、「地域医療機関に利用していただく共同利用施設として、Cartesion Prime / Luminous Editionの高性能を最大限に生かし、より正確でスピーディ、そして患者さんに優しいPET検査を提供し続けたいです」と展望する。
大視野・高感度のデジタルPET-CTにより検査効率向上と患者負担軽減を両立した同院は、これからも迅速で確かな検査によって地域の医療機関を支え、地域に貢献し続けていくだろう。
(2026年9月14日取材)
*AiCE-iは画像再構成処理の設計段階でDeep Learningを用いており、本システム自体に自己学習機能は有しておりません。
*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。
一般的名称:X線CT組合せ型ポジトロンCT装置
販売名:PET-CTスキャナ Cartesion Prime PCD-1000A
認証番号:301ACBZX00003000
製造販売元:キヤノン株式会社
医療法人社団ゆうあい会 ゆうあいクリニック
神奈川県横浜市港北区北新横浜1-6-2
TEL 045-540-8211
https://www.shinyokohama.jp

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