Philips INNOVATION and VALUE(フィリップス・ジャパン)

2026年7月号

画像診断がカギを握る脳神経外科がSmartSpeed Preciseの導入で検査効率と診断・治療の質を向上 ─ 確度の高い画像診断で患者を適切な医療につなぐハブ病院として地域へのさらなる貢献をめざす

医療法人和昌会 貞本病院

医療法人和昌会 貞本病院

 

医療法人和昌会貞本病院(愛媛県松山市,病床数:60床)は,中四国初の脳神経外科を中心とした専門病院として1971年に開院した。「最先端の画像診断で患者を助ける」という貞本和彦理事長・院長の信念の下,高度画像診断機器を積極的に導入し,診療に活用してきた。MRIは2016年から3.0T装置2台体制となり,このうち1台を2020年にフィリップス製「Ingenia Elition 3.0T」に更新。二度のバージョンアップを経て,導入時の想定以上に高画質と高速撮像の両立が図れるようになったことで,1台体制となった現在も以前と変わらない検査数を維持しつつ,検査内容を拡充し診療を支えている。
直近のSmartSpeed Precise導入による変化を中心に,Ingenia Elition 3.0Tを活用した診療や地域における役割について,貞本理事長と脳神経外科医師,MRI室スタッフにインタビューした。

貞本和彦 理事長・院長

貞本和彦 理事長・院長

久門良明 名誉院長

久門良明 名誉院長

松原一郎 副院長

松原一郎 副院長

     
伊賀瀬圭二 診療統括本部長

伊賀瀬圭二
診療統括本部長

篠塚史至 室長

篠塚史至 室長

須賀亜季 臨床検査技師

須賀亜季 臨床検査技師

 

画像診断の受診当日の提供を掲げる脳神経外科専門病院

2026年で開院55周年を迎えた貞本病院は,脳神経外科を中心に耳鼻咽喉科,内科・循環器科,放射線科,リハビリテーション科の診療,訪問介護・看護など在宅介護事業を展開し,地域に密着した医療・介護サービスを提供している。貞本理事長は,1959年に岡山大学を卒業後,脳神経外科医として診療・手術に当たる傍ら,大学院で脳構造の非侵襲的な画像化の研究に取り組み,企業との共同研究で超音波診断装置や国産初の頭頸部用CTを開発した経験を持つ。MRI研究においては,1989年にイタリアで開催された第1回MR Angio Club〔現在のMRA学会(SMRA)〕で0.5T MRIによるMRA研究成果を発表するなど,MRA研究の先駆者として国内外で知られる存在だ。
貞本理事長が「経験を生かした診療を提供するために故郷・松山で開業しました。常に最先端の画像診断機器,画像診断技術で患者を助けることが私の信念です」と述べるように,同院では,その時々で最先端の画像診断機器を積極的に導入してきた。地域での位置づけについて久門良明名誉院長は,「小児から高齢者まで幅広い脳神経外科領域の疾患に対応しており,県内では『頭で何かあれば貞本病院』と認識いただいています。精度に自信を持つ画像診断の下,経験豊富な専門医が診療を行っていますが,市民にとっては身近な病院です。理事長の方針である受診当日の検査・診断が,市民や開業医からの信頼につながっていると思います」と述べる。

SmartSpeed Precise導入で1台で2台分の検査に対応

MRIについては,国内でもいち早く2005年に3.0T装置を導入し,頭部検査に活用してきた。脳神経外科診療におけるMRIの意義について貞本理事長は,「非造影で侵襲なく脳の構造物や血管を描出できるMRIは,聴診器と同様に必須の機器です。より微細な構造を描出できる3.0T装置を採用し続けてきました」と話す。
2016年より3.0T装置2台体制となり,コロナ禍以前は月平均700件ほどの検査と週1回のMRガイド下集束超音波治療(FUS)を実施してきた。その後,1台目の装置の老朽化に伴い,2020年にフィリップスのIngenia Elition 3.0Tへと更新。ニーズが高まっていた心臓も含めた全身の検査を高画質・短時間での実施が期待できる点が採用の決め手となった。貞本理事長はフィリップスのMRIについて,「第1回MR Angio Clubからフィリップスの研究者が座長を務めており,MRIの長い歴史を持つ企業だと認識しています。Ingenia Elition 3.0Tは頸部を含めた広範囲を短時間で撮像可能で,MRAは末梢まで明瞭に描出できる装置だと思います」と述べる。
導入当初は「Compressed SENSE」が搭載されていたが,2025年5月にAI技術の統合で撮像スピードと画質を進化させた「SmartSpeed」,さらに12月に「SmartSpeed Precise」へとバージョンアップを実施した。MRI室の篠塚史至室長は,「コロナ禍以降,検査数は月600件ほどに減少し,FUSも需要や負担などを鑑みて撤退が検討されていたことから,1台体制への移行も視野にありました。その中でフィリップスから提案されたのがSmartSpeedです。1台体制にした場合の検査数減も覚悟していましたが,導入してみると画質を維持しながら高速化できると実感し,さらにSmartSpeed Precise へのバージョンアップで,T1系やT2 FLAIRの画質が大きく向上したことから,当院では1台体制にしても問題ないと確信しました」と述べる。
2026年1月より1台体制に移行したが,1日に40件の検査を行っても時間内に検査業務を終了できている。また,1台体制に移行後は光熱費が31%削減(2025年と2026年の2月〜4月での比較,データ提供:貞本病院)されており,久門名誉院長は,「1台で2台分の検査に対応し,維持費や人件費を抑えられることから,病院経営の観点でも大変良い判断だったと思います」と評価している。

追加検査が容易になり検査領域も全身へと拡大

MRI検査は診療放射線技師3名と臨床検査技師2名がローテーションで担当している。SmartSpeedにより検査枠が15分から10分に短縮したことから,更衣室を増設し,検査助手の案内で患者誘導を効率的に行うなど,スループット向上を追求してきた。篠塚室長は,「1台体制になったことで人員配置が柔軟になり,急な休暇にも対応しやすく子育て中のスタッフも働きやすい環境になりました。患者さんからも検査が早く終わるようになったと好評です」と話す。
臨床検査技師の須賀亜季技師は,バージョンアップ後の変化について,「撮像時間の短縮により,ためらいなく必要な追加検査を行えるようになりました。頭部検査で梗塞が見られた場合には頸動脈MRAやBB法のプラークイメージを追加でき,後ろの検査にも影響しません」と話す。
検査の大部分は頭頸部領域であるが,全身の検査に対応できるようになったことで,院内オーダや開業医からの紹介検査の幅が広がった。篠塚室長は,「脊椎脊髄領域や,脳梗塞や糖尿病合併症の評価で冠動脈を含めた全身血管の検査を行えるようになりました。循環器科外来には愛媛大学の医師も診察に来ていますが,川崎病や冠動脈疾患,先天性心疾患の術後フォローなど多様な検査がオーダされ,画像も十分な評価をいただいています。また,DWIBSによる全身の炎症評価など,MRI検査が充実しています」と説明する。

[Ingenia Elition 3.0Tの臨床画像]

Ingenia Elition 3.0Tの臨床画像

 

詳細な画像診断が確度の高い診断や治療方針の決定に寄与

同院では日頃から医師と技師が密にコミュニケーションをとり,画質向上や臨床に役立つ画像の取得に取り組んでいる。脊椎脊髄疾患を主に担当する松原一郎副院長は,「外側神経根は2Dでは描出できないことが多いのですが,3Dを短時間で撮像できるようになり,痛みで姿勢保持が難しい患者さんでも診断可能な画像を得られるようになりました。FRACTUREを活用した骨と神経のフュージョン画像など,撮像方法や画像処理を工夫することで詳細に診断でき,治療方針を立てやすくなっています」と説明する。また,愛媛大学にも所属し,脳動脈瘤やFUSの研究にも取り組んでいる伊賀瀬圭二診療統括本部長は,「画質の向上でより微細な構造を可視化できると期待しています。穿通枝などの微小血管における梗塞や微小動脈瘤破裂による出血評価,PADRE(位相差強調画像化法)を用いてFUSでターゲットとなるVim核を同定するなど,これまで見えなかったものを可視化できれば有効な治療にもつながります」と,SmartSpeed Preciseによる高画質化に期待を示す。
頭頸部における有用性について久門名誉院長は,「めまいやふらつき,顔面痙攣や三叉神経痛などで,下垂体や聴神経など細かい部分を見たい場合にも追加撮像を依頼しやすく,見落とし防止につながる心強さを感じながら診断に当たることができています」と述べ,高速撮像の恩恵を強調する。

適切な医療につなげるためのハブ病院としてMRIを活用

SmartSpeed Precise導入により,2台分の検査数を維持しつつ検査内容の充実にも努めているが,篠塚室長は「愛媛大学で心臓移植が始まり,術後フォローを当院のMRAでできないかを検討しています」と,さらなる活用をめざしていると話す。久門名誉院長は,同院の今後の取り組みについて,「これまでは主に脳神経疾患の患者さんを対象に画像検査で診断をして,自院での治療や適切な医療機関への紹介,開業医へ返すという,地域の脳神経外科診療の交通整理を行ってきました。今後はIngenia Elition 3.0Tで全身の疾患を対象にした画像診断も積極的に行い,医療機関をつなぐハブ病院として地域へのさらなる貢献をめざしていきます」と展望する。
高画質と高速撮像の両立を追求するフィリップスMRIが,地域から同院に寄せられる信頼をこれからも支えていく。

(2026年5月20日取材)

*AI技術は設計にDeep LearningまたはMachine Learningを使用しており,実装後に自動的に装置の性能・精度が変化することはありません。

 

医療法人和昌会 貞本病院
〒790-0052 愛媛県松山市竹原町1-6-1
https://sadamoto-hsp.jp

 

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