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ITEM2015 GEヘルスケア・ジャパン ブースレポート“SIGNA Returns”と銘打ち新型MRI4製品をPRしたほか,肝臓,女性,認知症などの領域別でも最新技術を紹介

2015-4-24

GEヘルスケア・ジャパンブース

GEヘルスケア・ジャパンブース

GEヘルスケア・ジャパンは,昨年に引き続き,“Advancing healthcare...together.〜お客様とともに医療の未来を〜”を展示テーマに掲げた。パシフィコ横浜展示ホールの中央寄りに設けられたブースの中心となったのはMRI。ITEM2015では,日本で開発された新型3T MRI「SIGNA Pioneer」を筆頭に,PET/MRI「SIGNA PET/MR」,1.5T MRIの「SIGNA Explorer」と「SIGNA Creator」の4製品が新製品として紹介された。ITEM2015に先立って4月9日(木)に開催された2015年成長戦略発表会において,川上 潤代表取締役社長兼CEOが「今年はMRIの年」と述べたように,2015年の事業展開において重要な役割を果たすことになる。同社では,この新型MRIの市場投入以外に,肝疾患・認知症向けのソリューションの製品化と第三の柱の確立,地域包括的医療ニーズに向けたポートフォリオの拡充を進め,2010年から開始した「Silver to Gold戦略」をさらに加速していく。
こうした成長戦略に基づき,ブースでもモダリティごとの展示に加えて,LIVERとWomen's Healthcareのコーナーが設けられた。昨年のITEMで肝疾患ソリューションの強化をアナウンスした同社では,LIVERコーナーで,MRエラストグラフィ“MR Touch”や超音波ガイド下での穿刺支援のためのフュージョン表示機能“Volume Navigation”を紹介した。また,Women's Healthcareコーナーでは,ブレストトモシンセシス機能の“SenoClaire”,自動スキャンを行う乳房専用超音波診断装置「Invenia ABUS」が展示された。
ITEM2日目の4月18日(土)には,ブースプレゼンテーションが行われ,岡野克也ヘルスケア事業本部長がSIGNA Pioneerの特長を,伊藤久美マーケティング本部長がブレストヘルスへの取り組みを紹介した。
このほか,CTコーナーでは,ハイエンドCT「Revolution CT」をはじめとしたRevolutionファミリーが展示され,ヘルスケアITコーナーでは,高機能画像ビューワの「Centricity Universal Viewer」,統合画像管理・参照システム「Centricity Clinical Archive」,クラウド型外部保存サービス「医知の蔵2.0」などのPRが行われた。(4月17日取材)

川上 潤代表取締役社長兼CEO

川上 潤
代表取締役社長兼CEO

   

 

●MRI:画期的なアプリケーション“MAGiC”を搭載した日本発の3T装置SIGNA Pioneer

“SIGNA Returns”をテーマに掲げ,ブランド名の復活をアピールしたMRIコーナーでは,その象徴とも言える新型3T MRIのSIGNA Pioneerを国内で初披露。さらに,SIGNA PET/MRが置かれたほか,1.5T MRIのSIGNA Explorerのスケールモデルも展示された。
第100回北米放射線学会(RSNA2014)でも大々的に発表されたSIGNA Pioneerは,日本における“KIZUNAプロジェクト”により,国内のユーザーの声を生かして開発された3T MRI。日本から世界に向けて発信していく“IJFG(In Japan For Global)”製品である。最新技術を搭載し,優れた設置性と経済性を実現しており,快適な検査を可能とする。最新技術であるアプリケーションのMAGiC(MAGnetic resonance image Compilation)は,MRIの検査効率の向上を追究。1回の撮像でT1強調画像,T2強調画像,STIR,T1 FLAIR,T2 FLAIR,プロトン密度画像(PD)を得ることができる。同社では,これにより従来の撮像時間を1/3に短縮し,約5分で上記の6シーケンスの画像を得られ,検査の効率化を図れると説明している。ブース内では,このMAGiCの仕組みを理解しやすくするためのゲームコーナーが設けられた。
SIGNA Pioneerにはこれ以外にも新技術が投入された。アナログ信号をデジタル信号変換するための新技術“DDI(Direct Digital Interface)”は,本体側に97chのレシーバーチャンネル(AD変換機)を持たせ,1chごとにデジタル変換して高画質化を図っている。また,内蔵のBodyコイルとSurfaceコイルの同時受信を行う“DST(Digital Surround Technology)”を採用。高いSNRとともに,深さ方向の信号強度の均一性が向上した。さらに,SIGNA Pioneerは,30m2という1.5T MRIと同等の設置面積を実現し,消費電力も従来機の約50%に削減。寝台は,昇降が困難な高齢者の負担を軽減するよう,52cmまで下げることができる。
同社初のガントリ一体型のPET/MRIであるSIGNA PET/MRは,「Discovery MR750w 3.0T」をベースに設計され,60cmの開口径を持つ。PETとMRIの同時データ収集が可能である。PETには新開発の半導体検出器の“SiPM(シリコンフォトマルチプライヤー)”を採用しており,21cps/kBqという高い感度を実現。TOF-PETによるSNRの高い高画質画像を得られる。
静音技術の“SILENT SCAN”が可能な1.5T装置の新製品SIGNA Explorerは,デジタル光伝送技術の“OpTix”,体動補正を行う“PROPELLER 3.0”,横隔膜同期を行う“Body Navigator”など上位機種の技術が採用されている。これにより高画質が図られているとともに,動きのアーチファクトを抑えて再撮像のリスクを減らし,高齢者や小児の検査にも柔軟に対応できる。また,金属アーチファクトを低減する“MAVRIC SL”も搭載されている。もう1台の1.5T装置SIGNA Creatorは,SIGNA Explorer同様に上位機種の技術を採用しており,“3D ASL”などのアプリケーションが使用可能。電源容量は25kVAで,省電力で運用できる。
このほか,LIVERコーナーでは紹介されたMR Touchは,“アクティブ・ドライバー”と“パッシブ・ドライバー”により肝臓に振動を与え,その堅さを画像化して,肝疾患の進行度を非侵襲に診断できる。

日本開発の新型3T装置SIGNA Pioneer

日本開発の新型3T装置「SIGNA Pioneer」

人だかりができ関心の高さがうかがえるMAGiCのコーナー

人だかりができ関心の高さがうかがえる
MAGiCのコーナー

   
TOF-PETが可能なSIGNA PET/MR

TOF-PETが可能な「SIGNA PET/MR」

SIGNA Explorerには上位機種の技術を採用

「SIGNA Explorer」には上位機種の技術を採用

   
MRエラストグラフィのためのMR Touch

MRエラストグラフィのための“MR Touch”

 

 

●CT:“Double Dose Reduction”を実現する「Revolution EVO」などRevolutionファミリーをPR

CTコーナーでは,ITEM2014で発表されたRevolution CT,それに続き昨年リリースされた「Revolution GSI」「Revolution EVO」のRevolutionファミリーの最新技術が紹介された。
同社のフラグシップ機であるRevolution CTは,広範囲,高画質,高時間分解能というCTに求められる三大要素すべてで最高レベルをめざして開発された。検出器の“Gemstone Clarity Detector”は,コーン角の影響を抑える設計がなされ,撮影範囲は160mmを実現。散乱線をカットする3Dコリメータは,高い製造技術を誇る日野工場で製造されている。また,完全非接触のスリップリング,「Discovery CT750 HD」シリーズの1/8に小型化したDASなど,新しいハードウエア設計になっている。これに伴い,被ばく低減技術である逐次近似応用画像再構成法の“ASiR”も新しくなり,“Veo”の技術を移植した“ASiR-V”へと進化している。ASiR-Vは,FBP法と比べて50〜82%被ばくを低減できる。
このRevolution CTを受け継ぎ,ファミリーとして2014年9月に発表されたのが,Revolution GSIとRevolution EVOである。Revolution GSIは,同社のデュアルエナジーイメージングである“GSI(Gemstone Spectral Imaging)”がルーチン検査で可能となる装置。2つの管電圧で撮影されたデータから物質弁別画像や仮想単色X線画像を得られる。デュアルエナジーイメージングは,大学病院など一部の限られた施設でしか行われていなかったが,Revolution GSIにより,より多くの施設で施行が可能になると期待される。
もう1台のRevolutionファミリーであるRevolution EVOは,被ばくと造影剤量の低減を目標に開発された装置。新型検出器“Lumex Clarity Detector”を採用したほか,回転機構や信号系,電気系のノイズを可能なかぎり除去するなどして,最大82%の被ばく低減と低管電圧撮影による造影剤量の低減という“Double Dose Reduction”を可能にした。これにより小児検査などにおいて被検者に負担をかけない検査を行える。
被ばくに関しては,線量最適化支援ソリューションの「DoseWatch」もPRされた。DoseWatchは,医療施設内のCTや血管撮影装置などモダリティの線量データを基に,検査や被検者,部位ごとに管理,分析を行える。これにより放射線部門における検査の線量の最適化を図れる。2015年2月には,放射線医学総合研究所が進める医療被ばく情報収集にDoseWatchを提供するという委託契約が締結された。

ハイエンド装置のRevolution CT

ハイエンド装置の「Revolution CT」

Revolution CTに搭載される検出器などの最新技術

「Revolution CT」に搭載される
検出器などの最新技術

   
Revolution EVOが可能にしたDouble Dose Reduction

「Revolution EVO」が可能にした
“Double Dose Reduction”

線量最適化支援ソリューションのDoseWatch

線量最適化支援ソリューションの「DoseWatch」

 

●ヘルスケアIT:「進化」「連携」「標準化」をテーマにCentricity Universal Viewer,医知の蔵2.0などをPR

ヘルスケアITのコーナーは,「進化」「連携」「標準化」をテーマに掲げて,画像ビューワのCentricity Universal Viewer,統合画像管理・参照システムのCentricity Clinical Archive,クラウド型外部保存サービスの医知の蔵2.0がPRされた。
Centricity Universal Viewerは,読影効率とワークフローを大幅に向上する画像ビューワとして,2013年に国内で発表された。以降着実に進化を続けており,今回のITEMでも新機能が追加されている。Centricity Universal Viewerの「進化」は,読影生産性の向上が挙げられる。新たに,CTやMRI,PETの各モダリティで比較表示する場合に,位置情報を持ち合わせていなくても部位の形状を自動的に判断して位置合わせを行う“Image registration”機能を搭載した。これにより従来からの“スマートリーディングプロトコル”機能とともに,読影効率を大幅に引き上げることが可能になる。また,「連携」としては,同社のマンモグラフィ用ワークステーション「IDI」と連携するようになったほか,整形外科用プランニングツーとして世界各国で定評のある「Orthoview」(Materialise社製)と組み合わせて利用できるようになった。加えてマルチシリーズ・マルチフレームデータの自動表示機能も搭載し,診療ソフトウエアとの連携も強化されている。このほか,「連携」としては,連携先施設にある過去画像と自施設の画像を並列表示して比較読影も行えるようになった。これにより,シームレスな地域医療連携を支援する。
Centricity Clinical Archiveは,DICOM画像や内視鏡画像,PDF,デジタルカメラ画像など施設内で発生するデータを統合的に一元管理するシステム。患者ごとに時系列にマトリックス表示して,見たい情報をすぐに探し出せる。マトリックス表示された画面からレポート画面を選択してクリックすると,関連する画像も同時に並列表示できるなど,少ない操作で必要な情報を見られるようにブラッシュアップされている。これにより,診療業務が効率化し,病院経営にも貢献するとしている。
医知の蔵2.0は,PACSのデータをデータセンターに保管して,医用画像管理を容易にする。他社のPACSデータの外部保存にも対応したベンダー中立型のサービスであり,「標準化」につながるものである。サービスの課金方式は,従量課金制でありながら差分型を採用しており,長期間にわたりランニングコストを低く抑えることができ,医療施設にとって利用しやすくなっている。

Centricity Universal Viewerのプレゼンテーション

「Centricity Universal Viewer」の
プレゼンテーション

少ないクリック数で操作できるCentricity Clinical Archive

少ないクリック数で操作できる
「Centricity Clinical Archive」

 

●US:乳房を自動スキャンするInvenia ABUSがITEM初登場

Women's Healthcareコーナーにおいて,新しい超音波診断装置Invenia ABUSが紹介された。2014年9月に国内発表されたInvenia ABUSは,スキャンヘッドが乳房を自動的にスキャンする。これにより,従来の超音波診断装置で課題となっていた,検査者によって画質にバラツキが発生するといったことがなくなり,検査の標準化が図れる。また,操作性にも優れているほか,軽量であるため移動も容易である。
一方,LIVERコーナーでは,「LOGIQ E9 with XDclear」が展示された。超音波画像と連動してCTやMRIの画像を表示し,診断および穿刺などの手技を支援する“Volume Navigation”機能に使用するプローブが新しくなった。従来は位置などの情報を読み取るセンサーを,別途プローブに取り付けていたが,新しい「C1-6VN」では内蔵された。これにより,操作性や利便性が向上し,より容易にVolume Navigation機能を実施できる。

自動スキャンを行うInvenia ABUS

自動スキャンを行う「Invenia ABUS」

Volume Navigation用の新型プローブC1-6VN(写真左)

“Volume Navigation”用の
新型プローブ「C1-6VN」(写真左)

 

●X線:ブレストトモシンセシスのSenoClaireをWomen's Healthcareで紹介

デジタルマンモグラフィの「Senographe Essential」にオプションで搭載できるブレストトモシンセシスのSenoClaireがWomen's Healthcareコーナーで紹介された。2013年に販売が開始されたSenoClaireは,1回の検査で25°のスイープアングルで9回のパルス撮影を行う。X線管球にはデンスブレストの撮影に適したモリブデン/ロジウムの二重陽極を採用。DQEの高いFPD,画像再構成法である“ASiRDBT”により,ノイズを除去した高精度の高画質画像を得られる。
このほか,X線に関する話題として,ITEM期間中,グローバルのGEヘルスケアが,血管撮影装置の「Discovery IGS」シリーズにマッケ社の手術用寝台組み合わせてハイブリッド手術室向けのシステムを提供していくことをアナウンスした。

SenoClaireを搭載できるSenographe Essential

SenoClaireを搭載できる
「Senographe Essential」

 

 

●お問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
住所:〒191-8503 東京都日野市旭が丘4-7-127
TEL:カスタマーコールセンター 0120-202-021
URL:www.gehealthcare.co.jp

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